オフとオン  〈近況〉

僕は倒れる前、プラッツの委託事業などのなかで、就労を控える元ひきこもりの若者に対してよく研修講座のようなものをしていた。そのなかで特に力を入れて伝えたかったのは、「仕事のオンとオフ」いうことだった。
仕事をし始めると、そのおもしろさや重圧、緊張感などから、仕事が終わっても仕事のことを考えることが多い。休みの日にも仕事のことを考える人も珍しくはないだろう。
短期間ではこれでも悪くはないが、仕事を続けるという観点からは、これではよくない。すごくすごく努力して、是非とも「オフ」という状態をつくりなさい。「オン」は油断したらいつでも侵入してくる、エヴァンゲリオンの使徒みたいな存在だから、これはすごくすごく努力してオフの状態をつくりださなければならない。そのオフり方をいっしょに考えよう、みたいなことを熱く伝えていた。

でも実は、そのとき、僕の日常は一分たりともオフの時間がなかった。24時間常にオン、家庭も僕にはないから、オールウェイズオンは簡単に可能なのだ。で、このオールウェイズオンという状態に慣れてしまうと、ランナーズハイみたいな心境になり(なったことないからきちんとはわからないけど)、わりと楽しかったりする。
そんなオールウェイズオンの僕が、若者たちに「オン/オフ」を説いていたのであった。

あの日々から一年たち、その間に僕は大きな病気になり、ものすごくラッキーなことに復活できつつある。そして今週はその復活の序章みたいにプチ忙しい日々であった。
で、慣れというのは怖いもので、あのオールウェイズオン状態の足音が少し聞こえてくるのだ(呼び寄せているのは僕だけど)。
これはすごくまずい。変な言い方だが、病気になった甲斐がないしラッキーに復活できた意味がない。

そんなことをぼんやり考えていた昨日、先週書いた松本くんから、どこかでたぶん温泉にでも入っているのであろう(そうでなかったらごめん)なんともな脱力メールが来た。
オフの大先輩はこんな身近にいる。大先輩に見習って、僕も今週末はオフってきます。★