2011年12月10日土曜日

若者自立業界は「ブルーオーシャン」か〜『ブルーオーシャン戦略』講談社


キムとモボルニュによる「ブルーオーシャン」という概念は、どうやら「成熟市場における穴場」のようなものらしい。
たとえば、成熟市場の極みであるワイン業界を例にとると、1000以上のメーカーが似たような商品(高価格帯にしろ低価格帯にしろ、それらはその価格帯のなかでは区別がつかない)を出すアメリカ市場の中で、思い切って何か(たとえば「苦味」成分)を切り捨て何か(たとえば「フルーティーさ」)を強調し、ラベルをワインらしくないもの(たとえばジュースのような)に切り替えたただけで、ある商品は「新しいフルーティーなワイン市場」(ブルーオーシャン)を切り開いたという。

同じ枠組みの中(いわゆる「ワイン」的なもの)からあっさり飛び出て、何かを切り捨て何かをそこに付け加え新しい市場を生み出す。これがブルーオーシャン(同じ価値の商品同士で血みどろの競争をする「レッドオーシャン」という用語と対比させている)ということらしい。

それをもとに考えると、前回触れた「若者自立産業/市場」はまだ成熟すらしていないので、「プレ・レッドオーシャン」とでもいったほうがいいのだろうか。いや、その市場規模の大きさが近いうちに明らかになったとして、そこに介護業界のように民間業者がなだれこんでこないとしたら、レッドオーシャンにすらならないかもしれない。
となると、そこはまったく一からのブルーオーシャンということになる。

いずれにしろ、若者自立産業ははやく目覚めるべきだと僕は思う。そのことで市場が活性化し、社会が若者の自立の重要性に気づき、若者たちがそれぞれのニーズにあったサービスを利用する。
問題は利用者の支払能力であるので市場化は難しいだろうと僕の友人は指摘したが、普通考えると市場化は難しいとなるのであれば、それこそその市場はレッドオーシャンではなく、ニュー・ブルーオーシャンであるといもいえる。
誰もが市場化は難しいと思いながらも、そうしたサービス受給可能性を持つ人々が数百万人存在するかもしれない業界、それが現在の若者自立産業なのだから。

現在の、若者サポートステーション拡大期(近いうちに縮小期に転じるだろうが)の次は、自立支援法が拡大されて適用される時期が訪れると思う(施設や地域によってはもう訪れている)。
そして同時に、どれくらいの民間業者が参入してくるかということもポイントだろう。老人介護業界ほどでなくとも、NPOサービスだけではない、民間の会社サービスがそこにどのくらいの「うまみ」を見つけるか。

そうした民間サービスの中には悪徳サービスも含まれるだろうが、悪徳サービスが現れるほどの市場規模は若者自立市場にはあると僕は思う。特に、団塊の世代が引退して自分の身体・健康のみに消費行動を絞らないこれから10年は、そうした親御さん世代が市場の中心支払い者になっていくのではないか。
そこに、サポートステーションや自立支援法といった公的サービスが絡み、若者の自立は経済市場の中に大々的に組み込まれていくのではないか。いや、そこに組み込まれなければ、超少子高齢化社会を支える現役世代の拡大は期待できない。

年金の賦課方式(現役世代が引退世代を支える)から積立方式(同世代で支える)への円滑な以降は数十年を要するという。そうなると、社会参加する現役世代を分厚くしていくことが当面の超少子高齢化社会を乗り切っていく方策だと思われ、それはつまり、現役(若者)世代が年金と健康保険と税金を無理のない範囲で払うことがその解決法のひとつになる(当然、全国民対象の消費税アップ等も同時に行なわれるだろう)。

今日午前中、堺サポートセンターで講演をひとつこなしてきたのだが、そこに来ている親御さんの熱い視線を思い出すにつれ、はやくきちんとした市場(とそれに伴うサービス良化のための競争)を形成し、そこに適切な行政サービスが絡む社会にしていくべきだと確信したので、説明不足かもしれないが以上を書いた。★