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「告知」ではなく「提示 suggestion」〜発達障害支援〜

■「告知」と「実践」の二段階受容
この前香川県から戻ってきたと思っていたら、もう一週間たってしまった。この間さまざまなことがあったが、今回のブログは、土曜日にあった「発達障害と自立を考える研究会2012」で出た提案について報告しておこう。

この研究会も、僕の病気を挟みつつ、もう4年目となった。 今年は淡路プラッツ20周年で秋から冬にかけて3連続シンポジウムを企画しており、当研究会をベースにした発達障害をテーマとするシンポジウムも12/1(土)に予定している。 同種の勉強会もそれほど珍しくなくなったのではと思うこの頃、今年はひとつの節目となるだろう。
研究会自体は毎回10名前後の参加で小規模なものなのだが、行政機関や医療機関からも参加していただき、わりと多彩な顔ぶれが揃っている。 内容は、青少年支援NPOが主催ということもあり、発達障害的当事者と最初に接触する機会(アウトリーチ)も多いことから、毎年、「本人や家族に、障害をどう受け入れてもらうか」ということがテーマとなる。
たとえば、障害者就業・生活支援センター等の専門機関では、本人や家族の障害受容という最初の山場(障害の「告知」や「受容」)は多くの場合乗り越えていることが多い。 そこでは、苦労して取得した「手帳」をいかに使い、就労先にいかに定着していくかという、自立に関する本丸の段階の中で苦闘していくことになる。
だが、NPO等のアウトリーチ機関では、そうした自立段階の入口の部分で時間を要することになる。つまり、果たして自分の「生きづらさ」は「障害」なのかという、ある種哲学的実存的問題に直面する。
発達障害は、発達凸凹といった境界概念をつくらざるをえないほど幅広い障害定義のため、その障害受容に関しても大きく2段階に分かれてくる。 それは、①(プラッツのような)NPO機関で行なわれる「障害の『告知/受容』」段階と、②就業・生活支援センターのような専門機関で行なわれる「障害者としての実践を通した『告知/受容』」の二段階だ。
■告知ではなく「提示」
いずれも「告知」という医学用語を用いているが、これに関して、研究会では意見が分かれた。 その理由を整理すると、以下に絞り込まれる。
1.告知は医師にだけ許される単語、といった資格特権に関する議論。 2.簡単にラベリングしてしまうことで当事者の可能性を狭くしてしまう、といった支…

コピーフリー!! スモールステップスケールver.2

■コピーフリーの新バージョン


ひきこもり・ニート/スモールステップスケールver.2.0(©2012 NPO法人 淡路プラッツ) 支援のステップ 本人のステップ スモールステップの指標
状態 スモールステップのタイプ 家族 外出 支援施設/ キーパーソン 就労   A.アウトリーチ支援 1.ひきこもり ①親子間断絶 − − − − ②外出不可 ◯

子ども・若者は、「規律(学校)と監視(Facebook・Twitter)」社会で生きている〜変な大人/イバショ論⑥〜

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■高校中退予防事業〜となりカフェ〜

春頃から淡路プラッツがのんびりと準備してきたもののひとつに高校中退予防事業があり、先月末から今月にかけてプレゼンやらなんやらがあって、8月からいよいよ事業開始することになった。
正式には、大阪府新しい公共の場づくりのためのモデル事業の枠内での「高校中退・不登校フォローアップ事業」なのであるが、通称は「となりカフェ」という。

提携先の高校の名称も含めて詳しくは当ブログやホームページで随時報告していく予定だが、僕としては、以前よりず〜っと気になっていた、「ハイティーンひきこもり」の問題というか、高校中退以降の青少年の生活のあり方にやっととりかかることができて、ものすごくうれしい。
去年、僕が病気療養中につくったプラッツの行動指針のひとつに「潜在性へのアプローチ」というのがあって、これがその高校中退問題にぴったり当てはまるテーマなのだ。


高校中退の問題は、ひきこもり・ニートの問題が生じる最大の源泉だと僕は思う。
大学中退も大きな問題だとは思うが、高校中退は潜在化の深刻度がより重い。
大学中退は「就労支援」というフィルターにまだ絡めとりやすいが(そのフィルターにたどり着いてもらうまで紆余曲折は当然ある)、高校中退はそもそも「支援」の網から抜け落ちている。


公的支援のあまりの少なさから、現代の日本では、高校を中退すると即ブラックボックス化してしまう。かといって、年齢面からすぐには就労には結びつきにくいため、就労支援の網の目からも抜け落ちている(その結果、長期のひきこもりになる)。
現在、若者サポートステーションが高校生支援に取り組んでいるものの、サポステの性格からどうしても「就労」という切り口になってしまうため、そこに拒否反応を示す生徒/保護者はなかなか網の中に入れない。そうなると、サポステの能力の優劣が反映されるから、仕組みとして平均的支援が提供しにくい。


就労からの切り口だけではなく、生徒の生活面すべてを考慮するような予防的支援が求められているのだ。


■子ども・若者世界には、「規律」だけではなく「監視」もある


そこで、「となりカフェ」のようなものが求められていると思うのだが、詳しくは次回以降。
今回は、あらためて現在の日本の10代がいかに生きにくくなっているのかを簡単に考えてみる。


学校は「規律社会」の典型である。この言葉は哲学者のフーコーが元ネタではあ…

the time is out of jointの、イバショ〜変な大人/イバショ論⑤

■イバショ(居場所)=生活支援

僕はもうこの頃はすっかり経営の人になってしまって、淡路プラッツの1階の代表席に偉そうに座り、時々3階の応接室みたいなところでスタッフやお客様と話し合うことだけで1日が過ぎ、あっという間に1週間が過ぎている。

2階にはいわゆる「居場所」があり、そこで青年たちがいわゆる「生活(体験)支援」を受けている。
詳しくはこのひきこもり/ニート・スモールステップ支援スケールver.1を参照していただきたいが、スケール中「ステップ④心理面談型ニート」が受ける支援が、生活支援であり、ひきこもり青年が社会参加していく際には欠かせないステップだ。

スケール欄外にある通り(パッとわかりにくいので、そろそろver.2をつくらないと)、生活支援はさらに、a.コミュニケーション(会話)、b.生活訓練(清掃・調理等)、c.レクリェーション(買物・カラオケ・旅行等)の三段階に分かれる。
「会話して料理してカラオケしてなんて、それって支援?」と言うなかれ。フツーの方々からは若者として当たり前と捉えられるこのような諸行為群こそ、長らくひきこもっている青少年にとって未体験であり、かつ同世代への最大のコンプレックス要因なのだ。


またこれら「当たり前の」生活体験は、それらが世間一般には当たり前すぎて、わざわざ他人に聞いて回ることも恥ずかしくてできない。
親に聞いても、親の価値観からすると「そんなの若者だったら誰でもやってること」の一言で片付けることができるため、そうした親の醸し出す空気が苦痛で若者は頼ることができない。


結果、人によっては5〜10年、そうした体験を積めないまま時間が過ぎていく。
このような空白期間が長くなればなるほど、スケール⑤以降の「就労(体験)支援/⑤就労面談」へと進むことができない。
正確には、⑤に進むことができてもそこで簡単に挫折し、再び②(外出不可型ひきこもり)あたりに戻ることになる。

③から⑤へのステップ飛ばしは最も危険で、就労体験を地道に積み重ねるためにも、④段階を半年から2年程度積むのが結果的に着実な社会参加ができることになる。

■イバショと変な大人

で、そうした生活体験が2階の居場所では展開されているのだが、そこは、僕が居場所のスタッフとして働いていた10年前からあまり変わることのない雰囲気をもつ。
そこは、居場所という漢字で書くよりはむしろ、イバシ…

「動くこと」の意味〜変な大人論④〜

■中岡先生

昨日、大阪大学で第29回臨床哲学研究会があり、社会人院生時代にたいへんお世話になった中岡成文先生の新著『試練と成熟〜自己変容の哲学』大阪大学出版会の合評会に僕もスピーカーの一人として呼ばれたので、久しぶりに阪大を訪れ(去年あった鷲田清一先生の退官記念講演以来)、少しだけしゃべってきた。
僕の話の中身は、中岡先生に新著でもとりあげていただいている、僕が数年前に出した岩波ブックレット『ひきこもりから家族を考える〜動き出すことに意味がある〜』を細かく解説したものになった。

先生の本の合評会で自分の本の解説をするというのは何か心苦しかったのであるが、ブックレット出版から4年たち、例の「スモールステップ」に関する考察がさらに深まっており、先生の御本の中にはこのスモールステップ論について4ページに渡って触れられていたため(しかも新著の最後半部分でとりあげられている)、昨日の研究会であらためて表を用いて説明したほうがいいのでは、と思った次第だ。


昨日のコメント自体は、最近僕がとりあげている「変な大人」論も含めて当ブログでふだん書いていることなので説明しない。
ここでは、僕の発表が終わったあとに先生からいただいた質問によって、僕が心のなかで「はっ」とさせられたことについて簡単に書いておこう。


先生はだいたいこのようなことを聞かれたのであった。
「田中さんは、この『思想ならざる思想』ともいえる、『動くこと』や『スモールステップ』の考え方について、どのようなところから着想されたんですか」


いや、「着想」ではなかったのかもしれない。何か元ネタのようなものがあったら披露してといった意味の質問ではなく、「どのような経緯から」「どのような動機で」、スモールステップ論や「動くこと」の重要性を説いているのかと聞かれたのだと思う。


■「動く」の元ネタ

僕が知っている限り誠実さナンバーワンの教授であるところの中岡先生が、公の場でこうした質問をされたということはある意味大きなチャンスだった。

けれども僕はこんな感じで答えてしまった。
「実は元ネタはドゥルーズなんです」

ブックレットを書きながらも、書いたあとも、昨日先生に答えたあとも、僕は本気で「動くこと」の重要性を教わったのはドゥルーズの本からだと信じ込んでいた。だから先生に自信を持ってそう答えたわけであるが、やさしい先生はさらっとスルーしてくれ…

「変な大人」論 ③〜不登校版スモールステップスケール〜

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■不登校版スモールステップスケール

先週は金・土とセミナー講師の補助役をし、昨日は、横浜のニート支援「バイターン」で知られる石井正宏さん・関西カウンセリングセンター理事長・古今堂靖さんと「ビートルズカラオケ」を堪能した。
そのふたつ(講師とビートルズカラオケ)を通して、5/27「変な大人」が子どもを癒す、6/2「自由」は癒しツールだが自立ツールではないのふたつのブログで書いた「変な大人」理論にさらに確信を抱いたので、少し書いてみよう。

金・土のセミナーは、主として不登校を扱ったものだった。
不登校は今、虐待や貧困といった00年代以降顕著になった問題も混入し、より複雑化している。それを受けて淡路プラッツでは、不登校問題にあらためて取り組み、高校中退の問題にも具体的に事業展開していく予定だ(これに関しては新たに行政委託事業を取得したので、次回以降報告していく)。

そのような動きのなかで、僕が考えたこのスモールステップ支援スケールVer.1をもとに、「不登校版スモールステップスケール」をプラッツスタッフが作成してくれた。それを表にしてみるとこうなる。



家族関係 外出 キーパーソンとの出会い 生活体験/学習支援 学校復帰/進路決定 ①完全ひきこもり - - - - - ②外出不可 ◯ - - - - ③外出可 ◯ ◯ - - - ④コミュニケーション訓練 ◯