「支援おたく」から「支援部門担当者」への、名誉ある降格 

■officeドーナツトーク・公式HPがついにオープン!!
Yahoo!ブログ 子ども若者論のドーナツトーク
officeドーナツトークブログ「まのまトーク」
Twitter(最近急に目覚めた!!)

■僕も「支援おたく」だった

最近、「育てあげ」ネットの工藤啓さんのブログ(「歴史的積み上げのない若者支援の現在地は、職人と専門家が混在、混乱の状態」http://blogos.com/article/66883/?axis=b:17593)を読んでいて、僕は、いまこそ諦めず「子ども若者支援に(工藤さんを応援しつつ)マネジメントを本格導入しなければいけない」と考え込んだのであった。

今回のタイトルにもあるように、不登校やひきこもり、そしてニート支援は、長年、ある意味「マニアック」な領域であり、それは「職人」やあるいは「おたく」の世界と言ってもいいほど、細かい支援論が延々と議論されてきた。

何を隠そう、僕もその「おたく」の一員であり、いや、おたくどころか「超おたく」の領域に踏み込んでいたといっても過言ではないほど、ひきこもりやニート支援についての詳細な議論を展開してきた。

飼い猫マーちゃんと「エヴァ」のマリ。
マーちゃんはおたくではないけれども、飼い主は超おたくで、写真は本文とは関係なし。


あれはあれでよかったし、議論の中身自体は今もそれでもいいと思っている。
が、現在必要なのは、そうした「支援おたく」的な議論が行なわれている「場所」をきちんと特定すべきなのでは、ということだ。
言い換えると、支援団体(多くはNPO)の「組織」の中で、そうした支援議論が行なわれている「場所」を特定することで、そのNPOの経営がより安定するのでは、と思うのだ。

さらに言い換えると、「支援おたく」的な議論が子ども若者議論の中心にあったままでは、これから本格的にNPO経営が難しくなっていくと予想される現在、経営の生き残りに乗り遅れるNPOがどんどん現れてくる、と僕は思う。

つまりは、支援論を熱く議論してきた「支援おたく」は、団体の中で「支援部門担当者」へと位置づけ(あるいは「降格」し)、その上に事業マネージャーやあるいは(機能別マネージャーのひとつである)企画マネージャーの傘下に収まるべきだということだ。

■3つのマネジメント

哲学は少し知っているものの経営の素人である僕がいうのも恥ずかしいが、誰もやさしく解説してくれないので、僕なりにNPOの組織形態について簡単に解説してみよう。

まず、NPO等のソーシャルセクターのマネジメントは以下の3オーダー(階層)に分かれる。
①団体マネジメント
②機能別マネジメント
③事業マネジメント

それぞれは以下のような性質がある。
①団体マネジメント……団体の代表理事が行なう。代わりがいない部門であり、団体マネージャーの独断で行なっても許される領域であり(外部理事の権限が強いNPOにはなかなか許されないが)、また独断だからこそ独創的な経営戦略等を提案することができる。

②機能別マネジメント……人事、財務、広報、企画などに分かれる。団体マネージャーとのタッグで、少人数で行なわれる。この多くは下の「事業」運営とも絡むため、機能別マネジメントの位置づけは組織によって異なるだろう。

③事業マネジメント……自主事業・委託事業関係なく各NPOが展開する諸事業の、それぞれのマネジメント。この3層目に位置する中堅どころのスタッフ(事業マネージャー)が力をつければ、そのNPOは強い。
各事業の事業計画・運営の多くをこの事業マネージャーに任せることができれば、①②の各マネージャーは楽になり、それぞれの分野に注力することができる。

■名誉ある降格

支援部門は、③事業マネジメントの中に位置づけられる。
あるいは、団体にもよるが、②の機能別マネジメントのなかの企画マネジメントの中に位置づけられる。この場合、団体の支援サービス(NPOといってもサービス業だからこれがつまりは団体の「商品」)の開発部門ということになる。

事業マネージャーは、支援部門への目配せと同時に、利用者(顧客)管理、人事(スタッフ)管理、会計事務(財務戦略の下に位置づけられる)、アドボカシー(行政交渉や同業業種との交流)、(広報マネージャーへの)広報依頼等、あげはじめたらきりがないほど仕事がある。

事業マネージャーは、マネジメントという本業と同時に、いまのNPOでは実際に支援の現場にも立っているから、超過酷な労働実態となる(僕はこのせいで3年前に脳出血になった……無事「生還」できたのは、ほんとラッキーだった!!)。

だからついつい、現場の「支援の内容吟味(つまりは団体独自の支援サービス商品の開発)」に意識がふりまわされてしまい、他の重要業務がないがしろにされる。
あるいは、支援を「商品」とはなかなかとらえることができない多くのスタッフの意識に振り回され、マネージャーとして一つ高い階層から判断・指示するこをためらってしまう。

その結果、商品開発と同じように重要なその他の業務が後回しにされる。
また、現場との兼務で疲弊化がよりすすむ。

いまこそ各団体の団体マネージャー(つまりは代表理事)は、「支援部門担当」の位置づけをきちんと行ない、事業マネージャーと支援部門担当者の位置づけも行ない(当たり前だが事業マネージャーが上)、事業全体が円滑に回るよう指示すべきだ。

ようやく、「支援おたく」が「支援部門担当」へと、「名誉ある降格」ができる時代がやってきたということだ。★