ソーシャルセクターの分類〜①目の前の課題解決型、②-1社会起業家型「ベンチャー」タイプ、②-2社会起業家型「社会変革」タイプ



■目の前の課題解決型

僕はこの記事(http://toroo4ever.blogspot.jp/2013/05/blog-post_27.html)で、現在あるソーシャルセクターの種類を、「目の前の課題解決型」「社会起業家型」「社会変革型」「仕方なく型」の4つに分けた。
あれから3ヶ月が過ぎ、この議論もだいぶまとまったので、ここに要約しておく。

某プレゼンに臨む前、某カフェから見た大阪市役所。
委託事業も、ビジョンとミッションに支えられてこそ。

4つめの「仕方なく型」はいわば「その他」だから、今回は省くことにしよう。前回も書いたとおり、「仕方なく型」は1つ目の「目の前の課題解決型」の1バリエーション(というか、その不徹底タイプ)だから、大きく分けて①「目の前の課題解決型」に含むとする。

要するに①は、自分たちの近くにニーズがあり(主として「福祉」「教育」「地域社会づくり」等だろう)、そのニーズを何とかしたいという1人のリーダーあるいは団体があり、それを支える人たちがいて、がんばってNPOを取得して出発した、という日本の大多数のNPOがこれに含まれる。
団体のミッションや社会のビジョンという「理念」ではなく、まさに目の前のニーズに応えるために出発した組織ということもできる。

このタイプは、当初の賛同者からのニーズを満たしたあとに曲がり角を迎え、クライエントの地域的な規模を拡大して同種の業務を続けることになる。
この際、業務の維持は当初の「地域や賛同者のニーズを満たす(目の前の課題を解決する)」から「スタッフの給与と組織を存続させる」に変わる。このこと自体は悪くはないものの、組織内にある種の「淀み」のようなものが現れ、何のためにその業務を遂行するかという「壁」にぶつかる。

目標は「理念」ではなく「組織維持」だからこうなるのは当たり前で、これが、セカンドセクターの「会社」であれば、「組織維持」と「拡大」を支える大きなモチベーションとして「利益」「資本蓄積」があるから、リーダーが明確な目標と戦略を掲げればなかなか淀むことはない。
いや、今のソニーを見ているとそうでもないか(組織のあり方等)。

このタイプは、社会福祉法人等へと移行するか、既成の福祉・教育団体に吸収合併されていくほうがわかりやすいのでは、と思っている。経営的にも楽になるし。そうなると一時的にNPO数は減るものの、いまよりはわかりやすくなると思う。

■社会起業家型「ベンチャー」タイプ

前回からの変更点としては、「社会起業家」をどう位置づけるかということで僕は少し悩んだ。

いろんな文章を読んでいると、どうやら「社会起業家」はかなりざっくりと大きく括られている概念のようで、社会課題をビジネス的手法で解決していくソーシャルビジネスとの区別が僕にはあまりわからなかった。

そのため、いろいろな人達が社会起業家を名乗っており、僕から見ると、15年前であればジャンルは教育でなくてITでよかったんじゃないか、という方々も混じっているように思われる。
つまりその人たちにとって、社会課題解決というジャンルは非常に相対的なものであり、極端な言い方をすると、「ビジネスの成功のネタ」のためにそうした社会課題に飛び乗ったということでもある。

これまた僕は別に批判はしておらず、むしろ、したたかで好ましく感じる。
ただ、そうした「相対的なジャンル選択(ITでも福祉でも)」には、ある種の市民倫理的潔癖感が立ちふさがる。つまり「福祉や教育は清廉な人たちがやるものであって、ビジネスでやるなんて不純」という倫理的「清さ」だ。

ここをどう突破するレトリックと論理を見つけるかが、この種の人たちの成功の鍵を握るだろう。僕は、この日本においては、「純粋な動機」をあえてつくり上げるしかないと思うが(「自分は◯◯の体験を過去に持ち、そこが原点」のような)。

このタイプは、早めに株式会社化することをお勧めする。

■社会起業家型「社会変革」タイプ

同じ社会起業家でも、「社会変革タイプ」は、明確な(社会)ビジョンと(組織)ミッションに裏打ちされ、それを支える「行動指針」を持ち、数年単位の「戦略」(法人・機能別・事業の各レベルで)を立て、事業の「コンセプト」を打ち立てて実際の事業を展開する。

明確・長期的なビジョンとミッションという「土台」から、その上に一つひとつ積み上げていくこの手法を厳密に行なうソーシャルセクターは、日本には少ないと言われる。
たとえばアメリカでは、用語は異なり(「セオリーオブチェンジ」この報告書はためになります)アメリカらしくプラグマティックではあるものの、長期的なビジョンをもとにした活動をソーシャルセクターが行なうのが当たり前だという(NPO法人しゃらくの小嶋さん)。

僕としては、この3つめの「社会起業家型『社会変革』タイプ」を、この日本で少しずつ増えていくことのお手伝いをしたいと思っている。★


★お知らせ

ニート・ひきこもりをもつ保護者のための、スモールステップ講座
【日程・場所】
■ 9月14日(土)10:00~12:00@住吉図書館1F多目的室「スモールステップの見取り図」
■ 9月21日(土)10:00~12:00@住吉区民センター図書館棟集会室3「親が踏んではいけない“地雷”とはなにか」
■ 10月5日(土)10:00~12:00@住吉区民センター図書館棟集会室3「親離れと子離れ、具体的な社会参加のかたち」

【参加費】無料
【対象】保護者の方
【定員】10名
【講師】田中俊英(一般社団法人officeドーナツトーク代表)
【内容】保護者が不登校・ひきこもり・ニートの若者を理解し、支えるためのスモールステップを学びます。スモールステップをじっくりと駆け上がることなしで、社会参加はなかなか困難なのが現実です。
「スモールステップ講座」考案者である田中俊英が全回にわたってお話する今回の講座を通して、子どもたちの具体的な社会参加のかたちを考えましょう!!

実施主体お問い合わせ先

NPO法人み・らいず・一般社団法人officeドーナツトーク共同企業体
※本事業では、子ども・若者問題に関して長く取り組むNPO法人と専門法人が事業体を形成して実施しております。

【NPO法人み・らいず】
〒559-0015 大阪市住之江区南加賀屋4-4-19
TEL:080-9129-6740 FAX:06-6683-5532
MAIL : sumiyoshi_young@me-rise.com

【一般社団法人officeドーナツトーク】
〒532-0023 大阪市十三東3-5-1ホワイトマンション1B
TEL:070-5663-8606
WEB : http://officedonutstalk.jimdo.com/
みなさま、どうぞよろしくお願いします。★