2013年3月30日土曜日

ひきこもり・ニート/スモールステップスケール3.1


■3.1へのバージョンアップ

「一般社団法人officeドーナツトーク」設立を兼ね、「ひきこもり・ニート/スモールステップスケール」を少しバージョンアップしてみたので、以下に簡単に解説してみよう。

ひきこもり・ニート/スモールステップスケールver.3.1©2013田中俊英)
支援のステップ
本人のステップ
スモールステップの指標
状態
スモールステップのタイプ
家族
外出
支援施設・者  ★ポイント
就労  
A.アウトリーチ支援
ひきこもり
①親子間断絶
★「地雷」を踏まないこと
②外出不可
③外出可
− 
★「親の付き添い」として施設へ
B.日常生活支援
ニート
④面談と居場所
     ◯面談:心理カウンセリング/ショートミーティング
     ◯居場所:短時間利用


④⑤……面談で、利用前確認・利用後振り返りが必須
⑤居場所と面談
     ◯居場所:生活訓練(調理・清掃等)
     面談:心理/ショート
⑥居場所と居場所外
     居場所:レクリェーション(買物・カラオケ・旅行等)
      面談:心理/ショート



★④〜⑥→規範・規律からの一時的解放
C.就労支援
⑦就労面談・就労コンサルティング
◯ ★本格的ニート支援に移行
⑧短期就労実習
⑨長期就労実習
⑩短期アルバイト
◯ ★ニート⇔バイトの往復
⑪長期アルバイト
◯ ★非正規雇用へ
◎−
契約社員/正社員













■より見やすく

細かな修正点を以下に並べよう。
◯ステップは11段階に
これまではBの「日常生活支援」は④として一括りにしていたのだが、④〜⑥の各段階に分けてみた。その結果11段階になった(最終の正社員は「ひきこもり・ニート」の支援の枠を超えるため番号外とした)。

◯B.日常生活支援を丁寧に
④の面談を「心理カウンセリング」と明確化し、⑦の「就労コンサルティング」と区別した。
また、短い面談をショートミーティングとし(従来はプチミーティング)、「利用前確認・利用後振り返り」として内容にも触れた。

◯「規範・規律からの一時的解放」に
3.0では「変な大人との出会い」としていたが、この意味をさらに明確化し、居場所の意味として「規範や規律からの一時的解放」と噛み砕いて表現した。これはあくまで「一時的」であり、子ども・若者は徐々に⑦の段階へと移動していく。

◯「地雷」「親の付き添い」も表中に
これまでは講演会のなかで口頭で説明していた、「若者へのタブートーク(いわゆる「地雷」)を表中に入れた(①)。
また、支援のなかでは最も困難な段階③→④について、「親の付き添い」として何とかまとめてみたが、まだこれは改善が必要だろう。

以上、細かな修正で目立たないかもしれないが、これからもB段階(日常生活支援)は、もっともっと言語化が迫られだろう。★







2013年3月27日水曜日

「Yahoo!!ニュース 個人」で連載始まりました!!


■「子ども若者論のドーナツトーク」

今週になって、いろんな流れから、あれよあれよという間に「ヤフーニュース個人」で連載というのか、自分のページを持たせてもらうことになった。

僕もいまいちわからないまま、いつものようにブログってみた。それがこれ↓

タイトルバックはまだ決まっていないが(編集はヤフーさんがやってくれる。個人ブログとは違うんですね〜)、タイトルはこのように「田中俊英 子ども若者論のドーナツトーク」というものになった。
まったくの暫定デザイン。今から写真バージョンになる。
でもタイトルはこのまま。

書いたあと、執筆陣をみてみると、江川紹子さんとか、僕も知っている有名人が何人か並んでいる。気軽に引き受けたのだが、結構ちゃんとしたものだった。光栄〜!!
そのauthorリストはこれ↓

■2つのブログを使い分け

第1回めということもあって、久しぶりにひきこもり論をきちんと書いてみた。
タイトルは「格差社会の象徴〜未分化なひきこもり」。要旨はこんな感じです。

①「ひきこもり」という言葉はなぜ今も生き残っているのか。
②社会学・経済学等の分析タームに、ひきこもりが持つ精神医学・心理学タームが混在しにくい。
③だが現在、ひきこもりは「未分化」なまま残れなくなっている。
④それは、生活保護受給者急増と直結する。
⑤それは、「格差社会化した日本」と直結する。
⑥あいまいな「未分化なひきこもり」は、富裕層にのみ存在し続けるだろう。

まあこんな要旨だけでは意味不明だと思うので、お時間ある方は、ここからも飛べます。

これからは、ヤフーのほうはどちらかというとハードな論文調になるだろう。
当「田中俊英ブログ」は、一般社団法人officeドーナツトークの情報(イベント告知やその他お知らせ専用のミニHPは来週アップします)や、哲学記事や、音楽・アニメ等の趣味記事など、より幅広いものが並ぶ予定。

いずれにしろ、今から数ヶ月、2つのブログを上手に使い分けていく実験が始まります。★




2013年3月24日日曜日

「高校中退」予防の意味〜ターゲット化の困難さと潜在層〜


■「となりカフェ」総括シンポジウム

昨日3月23日、府立西成高校を中心に展開してきた「となりカフェ」事業の今年度まとめのミニシンポジウムが、午前中の早い時間にもかかわらず満員御礼で開かれた。これは、大阪府の高校中退フォローアップ事業でもある。

大急ぎでつくったチラシ。
インパクトはある。
ゲストは西成高校の肥下彰男先生で、西成高校で取り組んでおられる反貧困学習について発表していただいた。その後、となりカフェ事業責任者である辻田梨沙が同事業を振り返った。
二人の発表後、参加者のみなさんに感想や問いをカードに書いていただき、ホワイトボードに書きだした「子どもと『ホーム』」「家庭環境と貧困」等のカテゴリーに、参加者全員が自分のカードをぺたぺたと貼り付けた。

このカードを元に、後半は参加者も積極的に参加するかたちで議論した。
参加者は、学校の教員や行政(府や基礎自治体)関係者、子ども若者支援NPOやシングルマザーグループ等のソーシャルセクター関係者、また府会議員や教育委員も来られるなど、この事業への関心の高さを示すように、多彩な顔ぶれとなった。

■「先端」と「マイノリティ」

高校中退に追い込まれてしまう生徒たちの困難さは、当たり前だがその生徒一人ひとりの個人的資質の問題だけではまったくない。
保護者の状態(経済状況・精神状態等)、そうした経済状態に追い込まれてしまった背景にある社会環境、そうした社会環境を形成してしまったマクロな経済状況や政治等、問題の切り取りをどこで留めるのか、また留めてもいいものなのか、この問題を考えるすべての者に問いかけてくる。

またこれは、決して「西成区」だけの問題だけではない、「西成」の抱える困難さが全国区的に有名なあまり、この困難さは西成固有の問題だと片付けられてしまいがちだが、これは決してマイナーな問題ではなく、格差社会での「先端」の問題だというほうが近いだろう。

マイナーと先端の優劣を述べているのではなく、高校中退問題として表象される一連の問題は、大きな意味では、格差社会の中の歪みの「先端」だということだ。
問題の性質としては、「象徴・先端」としてのひとつが「高校中退」であり、その結果生じるさまざまな困難さが「マイノリティ」的カテゴリーの問題へと追いやる。高校中退は先端的問題であるが、結果として中退関係者をマイナーへと押しやっていく。

■大学中退予防との比較

大学予防と比較していうと、いまFD(ファカルティ・ディベロップメント〜大学教員の能力開発)といった流行概念のもとに、教員(個人・システム)の質の向上が大学中退予防を促進するという流れがあるようだ。
これは、少子化時代になぜか大学が増加し、子どもの2人に1人が大学生になる今、各大学の生き残り策としては非常に意味のある流れだとは思う。

だが、FD自体は、大学中退予防というよりは大学倒産予防といったほうが近い称号だと僕は思っている。
誰もが大学に行く現在、各大学は他大学より魅力的なものとなり、学生をつなぎとめておく必要がある。そのための「QCサークル」的取り組み(比喩的に言ってます)がFDであり、これは、大学生一人ひとりの立場に立ったものというよりは、あくまでも「大学側の論理」に立ったものだ。

僕は、大学中退予防の最大の謎解きは、つまりは「大学の半分が倒産すること」だと思っている。子どもの数が減ったのだから、それに合わせて大学も減るしかない。
今の日本は、子どもの数が減りつつ格差社会になっているというたいへんな社会なのだが、格差社会のなかでの平等な教育機会と、少子社会の中での一部リソースの偏りは区別して考える必要がある。

つまり、「平等な教育機会の提供」が、「大学の増加・維持」にはつながらないと僕は思う。教育は、大学という(学歴的に)偏ったリソースのみを増加させるのではなく、個人のニーズに応じた多彩なリソースを用意すべきだ。
現在行なわれている大学中退予防は、大学倒産予防のための大学生つなぎとめである。そもそもの、「そんなに誰もが大学生になるものなのか、人の進路は大学が完成形なのか」という議論がなされていない。根本議論ができない日本の特徴がここにも現れている。

■ターゲット化の困難さ

僕も司会していて当日会場内の写真を撮る時間がなかった。
ドーンセンター5Fセミナー室2が会場。
ああ、大学中退予防にふれたのでついつい長くなってしまった。ブログは短くシャープに、で今年は決めようと思っているのに〜。

高校中退予防は大学中退予防と違って、高校を半減させればいいという問題でもないだろう。高校の「半義務教育化(教育水準の向上)」は、国民全体のコンセンサスだと僕は思っている。
大学は10代後半の「選択肢の一つ」で構わないだろうが、高校は「国民の重要な権利のひとつ」にまで高まった、と僕は解釈する。

そして、全日制高校中退→しばしひきこもり→通信制高校入学・退学→本格的ひきこもり→日本社会の中の「潜在的存在」へと潜り込み、という少子高齢社会の最大のウラ問題の温床であると、僕が思っている問題だ。

大学中退も「潜在層」へと変質していく温床ではあるのだが、よりディープな潜在層(アウトリーチがより困難な潜在層)こそが「高校中退」だと僕は思っている。
また、「ターゲット化」がより困難な層も高校中退だ。
その現実化の可能性はさておき、半減化をとりあえず提唱できる大学中退予謀と違い(FDにしても考え方はシンプルだ)、高校中退予防は、どこまでターゲット化すればわからないほど問題の射程は広い。

つまり、本人の資質・保護者の資質・家庭環境・友だちの環境・学校の取り組み・進路後の就労環境・地域の福祉環境・都道府県の教育的福祉的取り組み・国の教育的福祉的取り組み・グローバリゼーションの問題……。
きりがない。ターゲット化自体、広がった先には、肥下先生の反貧困学習の取り組みにあったように、究極のところでは「バングラデシュの子どもたちが抱える困難さ」とつながってしまう。

そして、そのターゲット化の困難さは、まじめにやればやるほど(つまり問題をグローバルに拡大していくほど)当事者・関係者の無力さにもつながる。
ここを無力にならないようにするためには、問題の絞り込みを常に行ない続けていかなければいけない。

そのためにも、「となりカフェ」は何らかのかたちで(「新しい公共」財源のため今年度で財源が尽きる)続ける必要がある。
これからの数ヶ月、事業延長のために僕は全力を尽くします。★




2013年3月19日火曜日

「発達障害」を考える会2013+3/16NPOユースカフェの報告


■哲学とソーシャルワーク〜「発達障害」を考える会2013

3/16はとても忙しい日で、午前中は「発達障害と自立を考える会」、午後はNPOユースカフェが開催された。今回はその簡単な報告を書いてみよう。

発達障害と自立を考える会は、2013年度は「『発達障害』を考える会」に改称することになった。
昨年の12月に発達障害のシンポジウムを行なった際、医師による告知作業の前に「提示〜サジェッション」と仮に呼ぶ行為をすることは現代の支援者には許されるのではないか、と問いかけした(「提示」に関する冊子づくりも2013年度は同時に進めている)。

このような問いかけは、「発達障害」という概念そのものの前提を常に問い直すということだ。こうした問い直し的意味を、2013年度の研究会名の「発達障害」にカッコをつけることで表現した。
発達障害のような暫定的概念(僕はこの概念はあと30年ほどで消滅すると思う)は、常にその概念のあり方を問い直し続けることが求められる。

また同時に、この概念が現れたことで救われた当事者・家族もたくさんいる。
当研究会の特徴は、概念の前提を問い直しながらも、この概念を用いた社会資源の現実的な利用法を模索し続ける(つまりはソーシャルワーク)という、福祉と哲学が同居しているユニークな点にあるといっていいだろう。

次回は5/18(土)、研究主宰をOfficeドーナツトークに移動し、4月よりオープン予定の一般社団法人Officeドーナツトーク事務所で開く予定だ。
支援者中心のオープンな研究会を隔月で開き、秋に昨年と同じくシンポジウムを開催する。

■コミュニティボールの秘密と魅力

もうひとつ、NPOユースカフェは、大阪大学臨床哲学系の任意団体カフェフィロの協力を得て(ファシリテーター・松川絵里さん)、クレオ大阪中央にて行なわれた。
前回のブログで予告したように「コミュニティボール」を用いて、「NPOと公共性」というテーマで参加者が3時間に渡って話し合った。

実に楽しそうだ(30秒)


僕は、このNPOユースカフェも公共性という言葉も少しとっつきが悪かったかなあと心配していたのだが、参加していただいた方々は逆に、これらのネーミングに惹かれてきた方が意外と多かったことは嬉しかった。

話し合いの中身はここでは報告しないでおこう。それが「コミュティボール」のマジックと秘密と魅力でもあるから。代わりに下に、コミュニティボールを30秒で説明した僕のYouTube動画を貼り付けておく。
誰かがFacebookで書いていたが、この動画の僕は、すごく楽しそうにしている。

NPOユースカフェも、Officeドーナツトークで以降は開催していき、次回は6月に予定している。おそらくまたコミュニティボールを使用するだろう。このレポートや動画を見て興味を抱かれた方はどうぞご参加ください。
詳しくは当ブログか、近々開設予定のOfficeドーナツトーク・ホームページブログをご参照くださいね。

春の訪れとともに、ずいぶん僕は元気になってきました。みなさま、これからもどうぞよろしくお願いします。★











2013年3月14日木曜日

コミュニティボールの力〜3/16NPOユースカフェの最終案内〜


■一般社団法人officeドーナツトーク

今週の土曜、3/16、クレオ大阪中央で「NPOユースカフェ」を開催する。
これは、「一般社団法人officeドーナツトーク」の設立プレイベントも兼ねていて、定員15名で開かれるワークショップでもある。

ワークには「コミュニティボール」というツールを用いる。それはこのようなもの(写真は8/12当ブログ「変な大人は複数になる」より再掲)。
右から二人目、辻田梨紗さんが持っているのがコミュニティボール
しゃべり終わると、次にしゃべる人にホールを渡す
ファシリテーターは、大阪大学臨床哲学から生まれた「カフェフィロ」にお願いし、僕も以前からお世話になっている(フーコーの読書会等)松川絵里さんがつとめてくれる。
松川さんの名ファシリテートのもと、「コミュニティボール」の作成から開始し、それを用いてワークしていく。
ワークの中身は来てのお楽しみだ。

NPOユースカフェは暫定的につけた名前なので、おそらくこの名前では今回が最初で最後になるだろう。この「ユース」は、子ども若者支援業界の関係者という意味と、若手スタッフという意味の二種類があるが、実はそれほどこだわっていない。
40才以上の方でも参加しても一向にオッケーだし、子ども若者支援業界にいない方でもオッケーだ。

3/16(土)14:00〜17:00、クレオ大阪中央

詳細は以下にあらためて書いておく。あと4名は残席あり。一般社団法人ドーナツトークのことなど、これからの田中の生き方にご興味ある方もどんどんご参加くださいね。どうぞよろしくお願いします。

■日時……3/16(土)14:00〜17:00
■場所……クレオ大阪中央http://www.creo-osaka.or.jp/chuou/index.html

■対象……関西にあるNPOスタッフ(ジャンルは問いません)、その他NGO・一般社団法人・株式会社等、社会貢献を指向する「サードセクター」のスタッフ、それらの団体に関わる学生・ボランティア等。また、そうしたジャンルに関心のある方。

■定員……15名

■参加費(材料費ほかに充当します)1000円

■進行……松川絵理(カフェフィロ/大阪大学コミュケーションデザインセンター特任研究員)、コーディネーター……田中俊英 

■主催……カフェフィロ、officeドーナツトーク
■内容 「コミュニティボール」をつかってのワークショップ

■お申し込みは、office.donutstalk@gmail.comへ


■おまけ


カフェフィロ本間直樹・准教授のyoutubeページ「cafeimage」より、
恐るべき子どもたち



2013年3月9日土曜日

モジュール化とブラックボックス〜子ども若者支援のスマイルカーブ

★3/16イベント「NPOユースカフェ」@クレオ大阪中央(詳しい情報はここ)、参加者募集中!! 
もう来週ですね〜、「コミュニティーボール」でそれぞれの「ブラックボックス」を見つけよう(今回ブログ参照)!! 参加お申し込みは、office.donutstalk@gmail.com、へ


■モジュール化とブラックボックス

最近、事情があって、子ども若者支援における「居場所」支援というものをあらためて整理整頓し、原稿化する作業をコツコツ続けている。
居場所には、コミュニケーションと日常生活訓練とレクリェーションがあり、それらはさらに「会話/雑談」「ゲーム」(以上コミュニケーション)、「調理」「清掃」(以上日常生活訓練)、「買い物」「カラオケ」「スポーツ」等々(以上レクリェーション)に分かれるといった、いわば「スモールステップスケールver.4」(ver3はここhttp://toroo4ever.blogspot.jp/2012/09/ver30.html)も視野に入れた作業をしている。

その作業を通してあらためて気づいたことがあったので、今回は簡単にふれておこう。
それは、「居場所支援」の整理・言語化やスモールステップスケールづくりとは、子ども若者支援の「モジュール化」のための基礎作業であり、各施設はこうした「モジュール」を元にそれぞの団体の個性(ブラックボックス)を開発する必要があるということだ。



■2つのブラックボックス

これだけだとなんのことかわからないので、もう少し説明しよう。
上図(Googleで検索するとスマイルカーブだけで20くらい出てきたので、いちばん簡単そうなものをコピーしました)はいわゆる現代の電気産業等における「スマイルカーブ」の一例だが、子ども若者支援業界も、徐々にこうした方向性に近づいている。

電機産業では、モジュール化・規格化と、それにともなう水平分業化がすすんだため、たとえばパソコンは単なる組立製品になってしまった。その中の各部品はモジュール化し、各会社がより安く作れる国で大量に製造している。

ただ、その各モジュールの中にある最小限ユニット的製品は一部の会社(インテル等)が独占販売する。ここが第一のブラックボックス(カーブの左上)だ。
第二のブラックボックスは、スマイルカーブの右上にあり、たとえばアップルのiTunesシステムのように、いったんその便利さに囲い込まれてしまうと、なかなかそこから出ることはできない。

人によっては僕のように、日常生活の半分はアップルとともに過ごすということにもなり、まあそれはそれで快適なものの、この「そのシステムから抜け出せない」という状態は、システムとしてのブラックボックスといってもいいだろう。

■居場所の仕事は誰でもできる

子ども若者支援の場合、まだモジュール化の途上だ。モジュールはたとえば、各行政やNPOが取り組んでいるであろう種々のマニュアル(訪問や就労等)や、僕のスモールステップスケールなどがある。

たとえば「居場所」支援なども、普通の支援者的「人柄」さえあれば、居場所モジュール的マニュアルに則って動けば誰でもできる仕事だと、極論かもしれないが僕は思う。
居場所モジュール(スモールステップスケールや◯◯マニュアル)に則っとり、プラス「いい人」や「笑顔がさわやかな人」であれば、誰でもできる仕事なのだ、「居場所」とは。

訪問支援や就労支援にしても同じだろう。一定のモジュールに則っていれば、誰でもできる仕事だ。
訪問はそうではないという反論があるかもしれないが、たとえば「二人以上で訪問」「訪問支援チームを結成」等の諸条件(これがモジュール化)がそろえば、おそらく誰でもできる。

専門資格は、そうしたモジュールを形成する部品の一つであってもいいし、僕などは別になくてもいいと思うが、社会制度的にはそうもいかないだろう。そのときは、モジュールの中に「資格」が入ることになる。

■インテルかアップルか

僕ががんばって取り組んできた「スモールステップスケール」も、モジュール化の一つの流れの中にある。
ポイントは、やがて諸モジュールが完成した後、各団体がどこに自分たちの「ブラックボックス」を置くか、だ。

製造過程は秘密ではあるが効果は抜群(インテル)的ブラックボックスか、あるいは緻密に構成された網の目がそのシステム以外の使用を諦めさせる(アップル)的ブラックボックスか。

このように、業界全体としてモジュール化を推し進めつつ、同時に各団体がブラックボックスを確立する。こうした競争が、業界全体のレベルを押し上げていくだろう。
僕個人は淡路プラッツを3月で退職するものの、生まれたばかりの一般社団法人として「officeドーナツトーク」を4月からスタートさせるつもりだ。

このとき、ドーナツトークの「ブラックボックス」をどこに形成するか、日夜構想を練るのが最近の楽しみになってきている。★






2013年3月3日日曜日

テーマとソーシャル〜「オルタナティブNPOとシェアNPO」論

★3/16イベント「NPOユースカフェ」@クレオ大阪中央(詳しい情報はここ)、参加者募集中!! 今回のブログにあるように、このイベントは、現代の「ソーシャルセクター」を考えるものでもあります。

■また出た!! オルタナティブとシェア

僕は半年以上にわたって、「オルタナティブNPO」や「シェアNPO」、あるいは「Z世代」や「公共性」といったキーワードを切り口に、日本の新しいソーシャルセクター/サードセクターについて考え続けている(ここ等参照http://toroo4ever.blogspot.jp/2013/01/3npo.html)。

というのも僕が20代の頃、何度も繰り返して申し訳ないけれども「さいろ社(http://www.sairosha.com/)」という医療問題系出版社の起業を手伝い、多くの患者団体や市民運動団体と接してきた体験をもっており、そうしたいわゆる「市民目線」の動きにはずっと関心を抱き続けてきたからだ。

懐かしや〜、『四つの死亡時刻』さいろ社


いま振り返ると、僕が淡路プラッツに関わったことも、そのような「市民運動」の取材の流れとして関わってきたと思う。
90年代前半、「不登校」問題が湧き上がり(メディアの雰囲気としては現在の「いじめ」「自殺」に近い)、当時「登校拒否」と名付けられていた学校に行かない現象が、あっという間に「不登校」に変わってしまった。

それらの一連の動きには、不登校の子を持つ親の運動や、そうした子どもが通う「フリースクール」の運動なども大きな役割をもった。僕が所属していたミニ出版社の動きなども、登校拒否→不登校への言い換えに寄与したと思っている。

それら一連の運動団体は当時はまとめて「市民運動」と呼ばれていた、というか、それ以外に呼び方はなかった。
現実として、70年代の市民運動とは徐々に違う動きになっていたとはいえ、市民が行なう「ソーシャル」な活動という意味で、それらは「市民運動」のひとつとして捉えられたと思う。

■「テーマ=目的、NPOという法人化=手段」は、活動の長い団体

阪神大震災後、98年にNPO法が成立し、それら「市民運動」あるいは「市民団体」は徐々にNPOへと姿を変えていった。
その流れの中に、淡路プラッツやフレンドスペースや東京シューレのような不登校・ひきこもり支援団体も含まれると思う。

そうしたNPO第一世代の多くは、今から振り返ると、不登校等の明確な「テーマ」を持っていたのではないか。
僕は教育分野以外は知らないのでこれから調べないといけないのだが、NPO法ができた当時は、それまで多くが任意団体に過ぎなかった諸団体が、いわば「格付け」のためにNPO取得に走ったのではないかと思っている。

それら諸団体にとって、自分たちが直面している問題(たとえば不登校等)の解決が第一であり、その問題の解決のために「NPO」という器を借りてきた。NPOという器があれば、行政とも協働しやすいし、問題や団体に対する社会的認知度も高まる。
言い換えると、目の前の「テーマ」の解決という目的のために、NPOという手段を選んだということになる。

この、「テーマ=目的、NPOという法人化=手段」という図式が、長い期間にわたって自主活動を耐え忍び、時代の流れに乗って当時NPOを取得した多くの団体がもつ事情だったのでは、と思う。

■目的と手段

この、80年代(70年代も?)より自主活動を地道に展開しながら98年以降の数年間にNPOを取得した諸団体を、僕はこれまで「オルタナティブNPO」と呼んできた。
このオルタナティブNPOは、おそらく、「テーマ」が先で「ソーシャル」はあとからついてくるものという価値を持っているのではないだろうか。
対して、当ブログで「シェアNPO」と呼んできた団塊ジュニア以降がつくるNPOは、明らかにソーシャルが先(目的)で、「テーマ」はあとからついていくるもの(手段)だろう。

わかりやすいところでは、たとえば大学中退に取り組むNEW VERY(http://www.newvery.jp/)というNPOは、確か僕が10年前に代表の方とお会いしたときは「オールニートニッポン」というおもしろいネットラジオ番組を展開しており、僕はその最初のほうのゲストとして呼ばれた。
それがここ数年、大学中退予防問題にテーマを移行し、大きな成果を上げつつある。

また、いつも例にあげるNPOしゃらく(http://www.123kobe.com/)は、高齢者の旅行付き添いサービスも他のNPOへの中間支援もまったく同じ目線で行なっている。
これらは、21世紀の日本社会に貢献するという社会的(ソーシャルな)目的が先にあり、各団体が行なう実際の事業は、ネットラジオだろうが大学中退予防だろうが高齢者旅行付き添いだろうが中間支援だろうが、すべては目的(社会貢献)のための手段にすぎない。

ここが、オルタナティブ世代とシェア世代以降の最大の違いだと僕は思う。
ポイントは、この「世代」は、スタッフ個人の世代というよりは、団体そのものの歴史を背景にした世代といったほうがわかりやすいということだ。

以上を簡単な表にすると……


オルタナティブNPO
シェアNPO
目的
テーマ(課題解決)
ソーシャル(社会貢献)
手段
ソーシャル……NPO法人化を通した社会(ソーシャル)化
テーマ……不登校、高齢者旅行付き添い、ネットラジオ、大学中退予防等








やっぱ物事、しぶとくこだわると、ゆっくりとだが光が見えてきますね〜★