2013年9月25日水曜日

変な大人は「変な待ち方」をする


■「変な大人」と「待つ」

最近のブログはYahoo!(http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakatoshihide/)のほうも含めて、ソーシャルセクターのあり方や階級社会のことばかり僕は書いているのだが、そういえばこの前行なった「WAZAカフェ」(実践支援スキル講座 WAZAカフェ)において、参加者の方から「変な大人」について発言があった。

参加者の方は、「変な大人」の支援のあり方と、「待つ支援」について関心をもたれており、それらをつなげる講座をまた行なってほしいというご要望をされたのであった。

本文とは全然関係ないが、神戸アンパンマン・ミュージアム。
アンバンマンは規範マンではあるが、頭の付替えを爽やかに行なうなど、相当変な規範マンだ。


変な大人については、少し前に僕はたくさん記事を書いていた。たとえばこのような記事だ(

http://toroo4ever.blogspot.jp/2013/06/blog-post_27.html

継続的に書いたりしゃべっているせいか、「変な大人」はだんだん定着してきたのかもしれず、最近もいくつか行なったミニセミナーのなかでそれは通常の言葉のように流通していたので不思議だった。
どうやら「変な大人」は、少なくとも青少年支援現場においては、それほど違和感はないらしい。

それどころか、いきなり変な大人になかなかなれない(だれでもそうだ)若手スタッフたちにとって、生真面目な若手自身のキャラ(それは言い換えると「規範」キャラということでもある)と、そうした「変な大人」スタッフをどう組み合わせれば、子どもや若者にとっていい「居場所」が提供できるのかなどという、僕にとっては嬉しい議論をしてくれることもある。

そうした議論の流れの中で、「変な大人」と「待つ支援の意味」を組み合わせて考える契機になっているようだ。

■「自由」にリラックスする

脳出血からの生還後、僕自身はますます「変な大人」化している。
特に独立してからは支援現場に入ることも格段に増え、自分の「変な大人」ぶりに自分でも感心するくらい、何かが突き抜けてしまった。

この頃は、いくつかの高校の「居場所」スタッフとして実際に高校生たちとトークしている。
そのトーク内容は、いつもながらアニメや音楽、場合によっては超真面目トークも加わり、生真面目な高校生たちに寄り添いながらも、たぶん本当に手に入れたかもしれない僕自身の「自由」(という価値観)にもとづいてしゃべる。

表面的には自由を求めながらも、内面は厳しい自己規範に縛られている若者たちは、僕が体現するある種の自由さにやはりリラックスするようだ(自由さというよりはいい加減さとも言えるかなあ)。
いつも言うように、変な大人は変な大人単体では効果半減であり、そばに「真面目な大人(スタッフ)」がいて初めて、そうした変な大人の味が生きてくる。

その意味では、僕という変な大人を活かしてくれる現在のスタッフたちに感謝している。

■規範を「カッコに入れて」待つ

そんななか、自由なトークの中に自由な「待ち方」があると、この頃僕は思うようになった。

『ひきこもりから家族を考える』(岩波ブックレット)の中で僕は、「(面談やセミナー参加を通して)『動くこと』こそが真の待つことだ」と結論づけたが、それは親たちの待ち方のことであって、支援者はまた別の「自由な待ち方」があると思う。

それは、いくつもの規範をいったん「カッコに入れて」自由に捉えてみるという考え方であり、そうした考え方を、子ども・若者たちとの会話の中に自由に差し入れていくあり方だ。

たとえば、仕事・学校・家族等々、いくつもの決まり事がこの社会にはあり、それらを自分なりにこなしていくことが「社会参加」ということでもあるが、そうした「決まり事」をいったんカッコに入れてみる。

決まり事をやめるのでもなく放り出すのでもなく、あくまでもカッコに入れて、留保してみる。
否定するのではなく、決まり事から自由になってみる。

そう、変な大人は「自由な大人」という意味でもあった。そんな自由な大人らしく、規範をカッコに入れながらいったん自由になってみる。そのやり方を、子どもや若者に提示してみる。
そんな自由な大人が世の中にいるということを、子どもや若者に現実態として示してみる。

たぶんこれが「変な大人」の「変な待ち方」で、これは実は60年代後半から続くひとつの大人のあり方でもあるのであるが、現実を否定するのではなくそこから「自由になる」という点で、少し現代的な提言だろう。★

★お知らせ

ニート・ひきこもりをもつ保護者のための、スモールステップ講座
【日程・場所】
■ 10月5日(土)10:00~12:00@住吉区民センター図書館棟集会室3「親離れと子離れ、具体的な社会参加のかたち」
※住吉区民センター 南海「沢ノ町」下車 徒歩5分(区役所敷地内)
※9月14日(土)「スモールステップの見取り図」、■ 9月21日(土)「親が踏んではいけない“地雷”とはなにか」は無事終了しました、ありがとうございます!!

【参加費】無料
【対象】保護者の方
【定員】10名
【講師】田中俊英(一般社団法人officeドーナツトーク代表)
【内容】保護者が不登校・ひきこもり・ニートの若者を理解し、支えるためのスモールステップを学びます。スモールステップをじっくりと駆け上がることなしで、社会参加はなかなか困難なのが現実です。
「スモールステップ講座」考案者である田中俊英が全回にわたってお話する今回の講座を通して、子どもたちの具体的な社会参加のかたちを考えましょう!!

実施主体お問い合わせ先

NPO法人み・らいず・一般社団法人officeドーナツトーク共同企業体
※本事業では、子ども・若者問題に関して長く取り組むNPO法人と専門法人が事業体を形成して実施しております。

【NPO法人み・らいず】
〒559-0015 大阪市住之江区南加賀屋4-4-19
TEL:080-9129-6740 FAX:06-6683-5532
MAIL : sumiyoshi_young@me-rise.com

【一般社団法人officeドーナツトーク】
〒532-0023 大阪市十三東3-5-1ホワイトマンション1B
TEL:070-5663-8606
WEB : http://officedonutstalk.jimdo.com/
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2013年9月18日水曜日

ミッションと戦略は、「組織維持」が目標ではない


■事後的かつ「組織維持」になる、目標

NPO等のソーシャルセクターの経営・運営に関して、日本独自のテーマかもしれない問題が僕には徐々に判明してきた。

いままで、ビジョンやミッション、戦略の必要性を折に触れて語ってきてつもりではあるが、僕自身の課題も含めて、いかにそれらが日本においては困難なのか、その原因がだんだんわかってきたということだ。

それはつまり、日本の場合は、目標が「あとづけ」、言い換えると「事後的に目標が設定される」という特徴がどうもあるようなのだ。

池田本のなかでは一番おもしろかった。
原発に対する考えがもうちょっとゆるければなあ。



目標やミッションが後付のため、その都度とられる戦術も、次から次に現れる目の前の問題にその場しのぎで対応していくことになる。
また目標が事後的なことから、数年単位の戦略らしいものを描けず、短期決戦に備えた戦術・作戦で終わってしまう。

目標が事後的になり、同時にその目標は「組織維持」になりがちだから、戦略(そもそも明確なものはないのだが)の終着点が描けない。
すると、「誘い話」にすべて乗って行くことになり、気がつけば組織が散漫に拡大していく。
戦略の明確な終着点(目標)がないから、これは、その組織が行なっている事業が終わりある事業であればそこで終われるが(たとえば戦争)、終わりない事業の場合(ビジネス全般)、終わりなき組織拡大か倒産・解散かどちらしかない(倒産しないのは、「潮目」を読める経営判断が優秀だということだろう)。

これはどうやら僕だけの特徴(それを克服しようと日々がんばってはいるが)でもなく、ソーシャルセクター全般の特徴でもなく、どうやら「日本」の特徴のようだ。

■リストカットの若者のように

池田信夫著『「空気」の構造』によると、この特徴は旧日本軍のものだけではないそうだが、やはり旧日本軍はその傾向がティピカルに現れた。

日本軍は対米戦争の目的を「自存自衛をまっとうし大東亜の新秩序を建設する」こととしていたそうだ。
が、「自存自衛」の解説がなく、言い換えると「自己組織の存続再優先」が最優先であり、自己組織(日本という国体と日本軍)が維持され続けると、それがアジアの平和と秩序維持につながっていくのだ、というおそろしく自己中というか自家中毒気味の戦争目的だった。

その結果、立てられる作戦は短期集中場当たり主義的なものが多く、たとえば「戦闘機は壊滅させるが燃料庫はそのまま放置」(パールハーバー)などの場当たり的な戦闘が多くみられたという。

目的そのものが、たとえば「来るべき本格的な工業化の時代を迎えて精密産業を中心に備え、そのために◯◯の領土を獲得して人口を2億人にする」等の明確なものがあれば、どの国をどう効果的に攻撃し、補給装備や機密保持などにも目配りできたのかもしれない。

が、目的は自家中毒的な「自存自衛」だから、自己組織がとりあえず継続するための作戦であればとりあえずやってみる、ということになる。
このような発想、日本軍だけにとどまらず、日本の組織全般にあてはまることではないだろうか。

おもろしいのは、資金的に脆弱なソーシャルセクターのほうが、以上のような「自存自衛」ミッションをとりがちだということ。
それはまるでリストカットをする若者のように、初めは生真面目な動機(若者は「自分を見つめてほしい」、多くのNPOは「目の前の課題を解決したい」)から始まるのであるが、やがてはアディクション的な行動(若者は「リストカットが気持ちいい」、NPOは「組織維持=社員の給料のため」)へと移行していくのに似ている。

それもすべてはミッションや戦略の目標を事前にたてられず、組織維持のための自家中毒的なものを事後的に設定していまうからだ。

■みんな「目標」が苦手

池田氏はその原因として、欧米に比べ日本は本格的な対外戦争が第二次大戦までなかったためとしているが、僕は、当ブログでも再三言及するように、定期的に襲来する地震等の大災害もその原因ではと思っている(短期的な「はかなさ」が重用な価値になる)。

まあ原因はどうでもいい。
ポイントは、組織維持は目標でないにもかかわらずそれが目標になりがちであり、本格的なミッションと戦略が苦手なのは個々の特性ではなく、どうやら「国民性」にまで深く掘り下げる必要がある、ということだ。

ということは、僕も、あなたも、「目標」が苦手ということです。まずはそこから始めましょうか。★



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ニート・ひきこもりをもつ保護者のための、スモールステップ講座
【日程・場所】
■ 9月21日(土)10:00~12:00@住吉区民センター図書館棟集会室3「親が踏んではいけない“地雷”とはなにか」
■ 10月5日(土)10:00~12:00@住吉区民センター図書館棟集会室3「親離れと子離れ、具体的な社会参加のかたち」
※住吉区民センター 南海「沢ノ町」下車 徒歩5分(区役所敷地内)
※9月14日(土)「スモールステップの見取り図」は無事終了しました、ありがとうございます!!

【参加費】無料
【対象】保護者の方
【定員】10名
【講師】田中俊英(一般社団法人officeドーナツトーク代表)
【内容】保護者が不登校・ひきこもり・ニートの若者を理解し、支えるためのスモールステップを学びます。スモールステップをじっくりと駆け上がることなしで、社会参加はなかなか困難なのが現実です。
「スモールステップ講座」考案者である田中俊英が全回にわたってお話する今回の講座を通して、子どもたちの具体的な社会参加のかたちを考えましょう!!

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※本事業では、子ども・若者問題に関して長く取り組むNPO法人と専門法人が事業体を形成して実施しております。

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〒559-0015 大阪市住之江区南加賀屋4-4-19
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2013年9月11日水曜日

ソーシャルセクターの分類〜①目の前の課題解決型、②-1社会起業家型「ベンチャー」タイプ、②-2社会起業家型「社会変革」タイプ



■目の前の課題解決型

僕はこの記事(http://toroo4ever.blogspot.jp/2013/05/blog-post_27.html)で、現在あるソーシャルセクターの種類を、「目の前の課題解決型」「社会起業家型」「社会変革型」「仕方なく型」の4つに分けた。
あれから3ヶ月が過ぎ、この議論もだいぶまとまったので、ここに要約しておく。

某プレゼンに臨む前、某カフェから見た大阪市役所。
委託事業も、ビジョンとミッションに支えられてこそ。

4つめの「仕方なく型」はいわば「その他」だから、今回は省くことにしよう。前回も書いたとおり、「仕方なく型」は1つ目の「目の前の課題解決型」の1バリエーション(というか、その不徹底タイプ)だから、大きく分けて①「目の前の課題解決型」に含むとする。

要するに①は、自分たちの近くにニーズがあり(主として「福祉」「教育」「地域社会づくり」等だろう)、そのニーズを何とかしたいという1人のリーダーあるいは団体があり、それを支える人たちがいて、がんばってNPOを取得して出発した、という日本の大多数のNPOがこれに含まれる。
団体のミッションや社会のビジョンという「理念」ではなく、まさに目の前のニーズに応えるために出発した組織ということもできる。

このタイプは、当初の賛同者からのニーズを満たしたあとに曲がり角を迎え、クライエントの地域的な規模を拡大して同種の業務を続けることになる。
この際、業務の維持は当初の「地域や賛同者のニーズを満たす(目の前の課題を解決する)」から「スタッフの給与と組織を存続させる」に変わる。このこと自体は悪くはないものの、組織内にある種の「淀み」のようなものが現れ、何のためにその業務を遂行するかという「壁」にぶつかる。

目標は「理念」ではなく「組織維持」だからこうなるのは当たり前で、これが、セカンドセクターの「会社」であれば、「組織維持」と「拡大」を支える大きなモチベーションとして「利益」「資本蓄積」があるから、リーダーが明確な目標と戦略を掲げればなかなか淀むことはない。
いや、今のソニーを見ているとそうでもないか(組織のあり方等)。

このタイプは、社会福祉法人等へと移行するか、既成の福祉・教育団体に吸収合併されていくほうがわかりやすいのでは、と思っている。経営的にも楽になるし。そうなると一時的にNPO数は減るものの、いまよりはわかりやすくなると思う。

■社会起業家型「ベンチャー」タイプ

前回からの変更点としては、「社会起業家」をどう位置づけるかということで僕は少し悩んだ。

いろんな文章を読んでいると、どうやら「社会起業家」はかなりざっくりと大きく括られている概念のようで、社会課題をビジネス的手法で解決していくソーシャルビジネスとの区別が僕にはあまりわからなかった。

そのため、いろいろな人達が社会起業家を名乗っており、僕から見ると、15年前であればジャンルは教育でなくてITでよかったんじゃないか、という方々も混じっているように思われる。
つまりその人たちにとって、社会課題解決というジャンルは非常に相対的なものであり、極端な言い方をすると、「ビジネスの成功のネタ」のためにそうした社会課題に飛び乗ったということでもある。

これまた僕は別に批判はしておらず、むしろ、したたかで好ましく感じる。
ただ、そうした「相対的なジャンル選択(ITでも福祉でも)」には、ある種の市民倫理的潔癖感が立ちふさがる。つまり「福祉や教育は清廉な人たちがやるものであって、ビジネスでやるなんて不純」という倫理的「清さ」だ。

ここをどう突破するレトリックと論理を見つけるかが、この種の人たちの成功の鍵を握るだろう。僕は、この日本においては、「純粋な動機」をあえてつくり上げるしかないと思うが(「自分は◯◯の体験を過去に持ち、そこが原点」のような)。

このタイプは、早めに株式会社化することをお勧めする。

■社会起業家型「社会変革」タイプ

同じ社会起業家でも、「社会変革タイプ」は、明確な(社会)ビジョンと(組織)ミッションに裏打ちされ、それを支える「行動指針」を持ち、数年単位の「戦略」(法人・機能別・事業の各レベルで)を立て、事業の「コンセプト」を打ち立てて実際の事業を展開する。

明確・長期的なビジョンとミッションという「土台」から、その上に一つひとつ積み上げていくこの手法を厳密に行なうソーシャルセクターは、日本には少ないと言われる。
たとえばアメリカでは、用語は異なり(「セオリーオブチェンジ」この報告書はためになります)アメリカらしくプラグマティックではあるものの、長期的なビジョンをもとにした活動をソーシャルセクターが行なうのが当たり前だという(NPO法人しゃらくの小嶋さん)。

僕としては、この3つめの「社会起業家型『社会変革』タイプ」を、この日本で少しずつ増えていくことのお手伝いをしたいと思っている。★


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【日程・場所】
■ 9月14日(土)10:00~12:00@住吉図書館1F多目的室「スモールステップの見取り図」
■ 9月21日(土)10:00~12:00@住吉区民センター図書館棟集会室3「親が踏んではいけない“地雷”とはなにか」
■ 10月5日(土)10:00~12:00@住吉区民センター図書館棟集会室3「親離れと子離れ、具体的な社会参加のかたち」

【参加費】無料
【対象】保護者の方
【定員】10名
【講師】田中俊英(一般社団法人officeドーナツトーク代表)
【内容】保護者が不登校・ひきこもり・ニートの若者を理解し、支えるためのスモールステップを学びます。スモールステップをじっくりと駆け上がることなしで、社会参加はなかなか困難なのが現実です。
「スモールステップ講座」考案者である田中俊英が全回にわたってお話する今回の講座を通して、子どもたちの具体的な社会参加のかたちを考えましょう!!

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※本事業では、子ども・若者問題に関して長く取り組むNPO法人と専門法人が事業体を形成して実施しております。

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