2013年10月26日土曜日

「脱タコツボ」が、やっとできそう


■丸山真男とマトゥラーナ/ヴァレラ

この2週間は3年前の脳出血で倒れる前くらいまでとはいかないが、夜の宴会系は一切ないものの、昼間だけ見るとむしろ3年前よりも忙しくなってきて微妙にヤバい。
だから休める仕事から休んでいくとなると、当ブログはその第一候補になるため、2週間更新を自粛してきた。

が、元々こうした気軽なエッセイは趣味だから、実は書きたくてうずうずしていたのだ。で今日は、久しぶりの「自団体(ドーナツトーク)だけで過ごせる」1日だから、書いてみることにする。

今回のテーマは、「脱タコツボ」と、それを可能にするための「組織の3オーダーの分析」だ。


いまだその思想は衰えず。この本をバイブルにしている人も多いだろう。


53年前に丸山真男が『日本の思想』(岩波新書)で日本のタコツボ社会(組織の大小に関わらず日本では「内/外」の区別を明確に行ない、これが社会の硬直化を生む)に苦言を呈し、僕はそれを20代で読んで以来ずっと「脱タコツボ」を目指してきたが、ここのところやっと可能性が見えてきた。


阪大「臨床哲学」では主としてドゥルーズ等のフランス哲学を学んだが、ついでに読んだこの本は今も大いに役立っている。


組織の3オーダーについては、こんなこと。
マトゥラーナとヴァレラが『知恵の樹』(ちくま学芸文庫)で提示した、生物界の階層の3オーダー(細胞レベル・個体レベル・社会組織レベル)は、いろいろ応用が効き、システム論の専門家には怒られるかもしれないが、僕は、ソーシャルセクター(あるいは組織全般)が行なう仕事の3オーダー(現場・事業マネジメント・法人マネジメント)にも適用可能ではないかと思っている。

そして、そのように組織で行なう仕事を分析することが、上の「脱タコツボ」を現実化するためにはわりと役立つと考えている。

■組織の3階層

子ども若者支援ソーシャルセクターの業務においては、以下の3オーダー(階層)が同時進行している。

それは、①現場支援、②事業マネジメント、③法人マネジメントの3オーダーだ。
支援者は若手も含めて①が業務のほとんどだと思い込んでいるかもしれないが、事業を運営する②のレベルがおろそかになると、一気に事業全体がバラバラになる。

たとえば僕がいろいろなかたちで関与する「高校中退・不登校フォローアップ事業」においては、高校生が放課後や昼休みに訪れる◯◯カフェ(となりカフェ・かめカフェ・めいぷるカフェ等)で、高校生はどのような状態なのかを把握しどのような支援を行なうかを検討することが①のレベルになる。
これを吟味して昇華していくことが、支援レベルの向上につながる。

しかし、こうした①レベルが機能するためには、「組織」をつくらなければいけない。
生徒たちと関わるスタッフが2〜3名、それを統括するコーディネーターが1名、これで1支援ユニットとなる。
◯◯カフェを仮に2つ運営するのであれば、2ユニットが必要になり、この2ユニットをさらに統括する「事業責任者」が必要になる。

僕は、この事業責任者を事業マネージャーと呼んだほうがわかりやすいと思っている。
事業マネージャーはこうした組織運営の他に、事業戦略と単年度内アクションプランの設計と執行を行なう。
この「アクション」には、行事、それを裏付ける会計事務とのすり合わせ、広報、スタッフ管理等々が含まれ、これに加えて次年度の事業計画も加わる。

それらすべてで事業マネジメントだ(このあたり、11/9土曜日に、大阪ボランティア協会において「事業マネジメントのベースメント」という勉強会を行なう予定です。興味ある方はこのFacebookイベントページ参照事業マネジメントのベースメント〜ビジョン・ミッション・戦略〜

■タコツボは常に待ち受けている

法人マネジメントは、以上のような事業を集積したうえで、法人全体のビジョンや戦略を検討し、財務・マーケティング(広義の広報)・アドボカシー(利用者の代弁と事業獲得)等を行なう。

まあ書き始めたらきりがないのでやめておくが、僕が興味があるのは、こうして現場支援から法人マネジメントにいたるあちこちに、いかに配慮しようが「タコツボ」化の罠がぽっかり口を開けており、日々の仕事に懸命になればなるほど、そうした組織体(現場から個別事業、そしてそれらを束ねる法人組織)すべてにわたって「タコツボ」が待ち受けているということだ。
だから普通は、自分のタコツボを愛し、美しいタコツボを形成しようと努力する。

それに反対するわけではないものの、その発想でいる限りは、美しいタコツボはつくられるかもしれないものの、残念ながら脱タコツボは不可能になる。
つまり、事業と法人は美しくなるものの、同時にタコツボ化することで、組織や事業の硬直化が進むということだ。

■組織の硬直化(タコツボ化)を防ぐために

その脱タコツボ化・硬直化阻止に向けての突破口は、あるキーパーソンによる「ウチ/ソト」の境界線を常に引き直す動き方だと思うようになってきた。

先日、某巨大NPOの某スタッフに、「田中さんはまるでうちのスタッフですね!!」と笑われてしまった。
また同時に他のスタッフには、「うちのスタッフとは全然違うし、田中さんのあり方がよくわらない」とも言われた。
それもまさに僕の狙い通りだった。

まあこれはコンサルティングとしてのひとつの動き方の事例だが、これは、一組織体の中にも応用可能のように思えている。
ポイントは、組織化は必要だし組織化がないとよい事業は生まれないものの、同時に生じている硬直化を防ぐために、ウチ/ソト関係なく動き続ける人間を一人置くことのように思えてきた。

今回はここまで。今回は、マネジメントと社会の3オーダーの考察は、「タコツボ」社会の考察ともつながっていることをお伝えしたかった。★





2013年10月13日日曜日

哲学者になる4〜グローバリゼーションと「サードプレイス」


■久しぶり、哲学者になる

先日、菊地建至氏・大北全俊氏のおふたりと久しぶりにお会いし、これまた久しぶりに「哲学者になる」のyoutube撮影をした。

ビデオ①田中から「サードプレイス」について


これまで「哲学者になる」では、以下の3つの記事とyoutube動画をアップしている。




■サードプレイスの必要性

今回は、最近僕がテーマ化し始めた「グローバリゼーションと『サードプレイス』」について、突っ込んで話してみた(ここ最近の、ソーシャルセクター議論や階級社会論とは別に、この「サードプレイス」論がofficeドーナツトークの毎日の仕事を理論づけるために重要になってきている)。


ビデオ②大北さんから




ビデオ③菊地さん登場!!



ビデオ④まとめ




Yahoo!ブログのほうで言及した「銭湯、映画館、野球場…」は、この収録の後、3人で語っていた時に出現した話。
もうひとつの、「ファーストプレイスとセカンドプレイスのありようが、人それぞれのサードプレイスを決める」は、今回の後半に菊地さんから出てくる話だ。

対話は、そのような「オフ」のときに最も肝心な話に展開するのはよくあることで、これはみなさんの日常生活でも同じだろう。

1人では導けないテーマに、複数で語っているうちにたどり着いてしまうことがあり、この銭湯云々もまさにそうだった。
最近僕は、このような突如訪れるトーク・スポットのようにものにも関心ある。
そのとき対話は、何となくそのような深みに入っていくムードを持ち始める。あのムードとは何なんだろう。

4本全部で30分近くあるため、流し聞きしていただくだけで十分です。
「サードプレイス」については、今月末に提唱者のオルデンバーグの訳書(The great good place)がついに発行されるらしいので、僕は読んでみようと思っている。★


2013年10月10日木曜日

「高校生居場所カフェプロジェクト」を整理する〜2つの高校内カフェ、3つの市民向けカフェ


■高校生居場所ブロジェクトとは

最近忙しくなってしまって、当ブログやYahoo!ブログも更新が滞りがちだが、今回はYahoo!はおいといて、このドーナツトークブログで、当法人がすすめている「高校生居場所カフェプロジェクト」について整理整頓しておこう。

「居場所」やサードプレイスの意味については、このYahoo!ブログスターバックスととなりカフェを参照いただきたいが、今回は理念ではなく、現実に進行中のプロジェクトについて報告する。

■となりカフェ〜高校内「カフェ」

この居場所は、府立西成高校で昨年から続いてる試みで、僕としては、20代の編集者時代から夢見ていた「現実の学校内に『居場所』をつくる」という構想がついに現実化した、画期的な試みだ。

今日も僕はこのとなりカフェに顔を出したが、常時生徒さんが20名は訪れる理想的な「サードプレイス」となっている。
Facebookを利用されている方は、この高校生居場所カフェプロジェクトを参照願いたい。

利用されていない方のために、最近の記事・写真をコピーしてみよう。



10月8日

本日、となりカフェOpenです。

テスト前ということで、部活動がなくていつもより人の数が多め!
にぎやかです。

というか、人熱ですんごくあついです!

こりゃ、冬も暖房いらずかなー。
写真: 本日、となりカフェOpenです。

テスト前ということで、部活動がなくていつもより人の数が多め!
にぎやかです。

というか、人熱ですんごくあついです!

こりゃ、冬も暖房いらずかなー。 





















■かめカフェ(府立桃谷高校)

こちらは大阪府の不登校・フォローアップ事業の中で今年から始まった試みだ(となりカフェとともに、NPO法人みらいずとの協働事業)。
通信制高校の老舗である桃谷高校で「居場所」(サードプレイス)を現実展開できることは、僕としてはまさに「ありえないこと」を始めることがてきた思いがあり、感無量だ。

これは、25年前、日本の教育問題をなんとかしたいと思っていた方々ならば、共感していただけることだろう。
それだけ時代が変わったというか、「居場所」を取り入れなければ仕方がないほど、日本の現実問題が差し迫っているということだろう。

■aima カフェ

つまりは「合間カフェ」。西成と桃谷の合間、社会と「自由」の合間、自立とハイティーンの合間等、解釈はいくらでもできるおもしろいネーミングだと僕は思う。
ドーナツトークのスタッフが、ああでもないこうでもないと議論してつけられた名前で、ネーミングには僕はほとんど関与していない。こうした流れも、喜ばしいことだ。

これもFacebookからコピーしてみる。



今日はaimaカフェOpenです。

生徒がスイートポテトを作ってきてくれました!
おーいーしー(*・ω・)

こういうまったりしてるの良いですなー。


















高校生の「居場所」活動のほかに、市民対象の面談なども行なっている。僕も面談を担当しており、これまでの経験をフル活用している。
場所は、大阪市営地下鉄「大国町」(難波のとなり)下車徒歩3分。非常に便利なところにある。

■tamaruカフェ

たまるカフェ。大阪市住吉区の補助金事業でゆっくりと始まった活動で、月2回、住吉区内の公的会館でこれから展開していく予定。

これもスタッフのネーミングであり、例の湯浅さんの「溜め」とは全然関係ない。そういうのも痛快です。

■まのまカフェ

十三のドーナツトーク事務所にて、土曜日に開設している居場所。ここは20代以上にも開放されており、これまで僕が提供してきた若者向け居場所活動を展開している。

保護者対象の面談も活発に行なっている。

以上、2つの高校内カフェと、3つの市民向けカフェを紹介した。
これらは福祉施設というよりは、少子高齢社会に突入した我が国ににおいて、必須の「居場所」(サードプレイス)という理念に基づいて展開している。★

2013年10月4日金曜日

では、支援者はどう「待つ」のか〜aimaカフェ誕生に際して


■aimaカフェ

おっと気づけば、前回の更新からだいぶ間が空いてしまった。
この間、大阪府の高校中退・不登校フォローアップ事業の枠内において「aimaカフェ」というハイティーンの居場所も設営し(なんばの隣の「大国町」駅徒歩3分)、府立西成高校と桃谷高校を中心としながらも、いよいよハイティーンの市民対象の相談窓口を設置することができた。

aimaに転がるジェンガ。 こういうの、昭和にはなかった!!
このように、妙に忙しい秋、Yahoo!ブログと当ブログを並行してすすめるのは少し無理があるみたいで、どうしても自分のペースが許される当ブログが後回しになってしまう。

そんなわけで今回はショートブログです。

僕は『ひきこもりから家族を考える』(岩波ブックレット)のなかで、親/保護者が、自分の子どもに対して「待つ」方法を提案した。

従来の「待つ」はいわば「放置」であり、真の「待つ」あり方とは、セミナー・面談・親の会等に無理ないペースで出席することで知識・安定・情報を得、いずれは必要になるその日のために、親は「動き続ける」ことだとした。

こうした「動くこと」が、「待つ」ということなのだと僕は訴えたかったし、その考えは今も変わらない。

■『子どもが決める時代』から始まっている

が、ここにきてよく聞かれるのは、「親の待ち方は『動く』ということで理解できました。では、支援者はどう待てばいいんですか」という、いわば直球の問いだ。

こんなこと、当たり前すぎて言語化もしてこなかったが、そうか、もしかすると今だからこそ、この「支援者はどう待つのか」ということを言語化してもいいのかもしれない。

というのも僕は、古くはさいろ社(20代に友人の松本康治くんとつくった出版社)時代に編集・発行した『子どもが決める時代』(佐藤幸男著)に始まり、当ブログにおいても延々と言及しているとおり、「子どもや若者がどう自己決定し、その自己決定のプロセスを見守り、それをどう尊重するか、その結果どう『待つ』か、あるいは積極的にアドバイスするか」ということを考え続けてきたからだ。

あまりに考え続けてきたため(それは25年以上続いている)、もう自分の中ではそれなりの答えが出ていた。

が、その「答え」も、最後に出してから10年以上たっているため、あらためて聞かれると、実はしどろもどろだったりする。

aimaカフェという、期間限定(とりあえず3月まで……、延長できるよう努力します!!)ではあるが公的サービス上「潜在的」対象である10代後半への支援窓口を設置できたいま、支援者自身が「待つ」とはなにか、ということについてあらためて考える時が来たのかもしれない。

12月あたりに、神戸でそのような集いを開く予定です。

なお、aimaカフェの詳しい情報は、ドーナツトークへお問い合せくださいね。どうぞよろしくお願いします。★





まったりしたボード。僕には書けないよ〜


今のところのaimaカフェ・マーク


★お知らせ

ニート・ひきこもりをもつ保護者のための、スモールステップ講座
【日程・場所】
■ 10月5日(土)10:00~12:00@住吉区民センター図書館棟集会室3「親離れと子離れ、具体的な社会参加のかたち」
※住吉区民センター 南海「沢ノ町」下車 徒歩5分(区役所敷地内)
※9月14日(土)「スモールステップの見取り図」、■ 9月21日(土)「親が踏んではいけない“地雷”とはなにか」は無事終了しました、ありがとうございます!!

【参加費】無料
【対象】保護者の方
【定員】10名
【講師】田中俊英(一般社団法人officeドーナツトーク代表)
【内容】保護者が不登校・ひきこもり・ニートの若者を理解し、支えるためのスモールステップを学びます。スモールステップをじっくりと駆け上がることなしで、社会参加はなかなか困難なのが現実です。
「スモールステップ講座」考案者である田中俊英が全回にわたってお話する今回の講座を通して、子どもたちの具体的な社会参加のかたちを考えましょう!!

実施主体お問い合わせ先

NPO法人み・らいず・一般社団法人officeドーナツトーク共同企業体
※本事業では、子ども・若者問題に関して長く取り組むNPO法人と専門法人が事業体を形成して実施しております。

【NPO法人み・らいず】
〒559-0015 大阪市住之江区南加賀屋4-4-19
TEL:080-9129-6740 FAX:06-6683-5532
MAIL : sumiyoshi_young@me-rise.com

【一般社団法人officeドーナツトーク】
〒532-0023 大阪市十三東3-5-1ホワイトマンション1B
TEL:070-5663-8606
WEB : http://officedonutstalk.jimdo.com/
みなさま、どうぞよろしくお願いします。★