■賢人論
最近「賢人論」というネット連載で取材され、僕が想像していたのより遥かにその連載は読まれているらしく、出会う人の多くにこれを話題にされている。
そこで僕が着ていたTシャツが人々の目を引いたそうで、このTシャツのブランドを知ってる人からは「相変わらずでね」的なトーク、知らない人からは「あのマークは何?」みたいな質問をされる。
その連載の写真と記事とはこれ。
このTシャツを着て今日モスバーガーに行ったら、いきなり店員さんに「ギャルソンお好きなんですか? 私も好きなんです!」と話しかけられ、そこからしばらくギャルソントークが続いた。
そう、このTシャツの会社はコムデギャルソンで、川久保玲が80年頃より展開する、日本でも有数のブランドだ。
■オリジナルアップリケ
で、そんなモスバーガーエピソードなどをFacebookに書き込んでいたら、NPOパノラマの石井さんから、「それは田中さんがつくったオリジナルアップリケで、すべてのTシャツに縫い込んでいるなんてスゴイと思ってた」的書き込みをしていただいた。
これはこれで嬉しい書き込みで、僕にそんなデザインセンスがあると思っていただけただけで光栄だ。
また別の方(Oさん)は、「ブランドに存在感ありすぎて手を出しにくい。田中さん的徹底している人はアリなブランド」という、これまた超お褒めいただき、うれしくなった。
コムデギャルソンを本格的に知ったのは(80年代から知ってはいたが関係ない存在だった)、大阪大学の臨床哲学に院生として入った30代後半。
■鷲田清一先生と本間直樹先生
そこで指導いただいた鷲田清一先生と本間直樹先生が、いつも着ていた服がギャルソンだった。
鷲田先生は臨床哲学の先生というよりは「モードの先生」的イメージが当時は強く、モードやアートを自由自在に語るその姿と、コムデギャルソンは実にマッチしていた。
本間先生も、こちらはマニアックなファンはいるが鷲田先生ほど全国レベルでないものの、哲学カフェやP4C(子どものための哲学)の日本への導入者の一人として知られる。
何よりも僕の修士論文(「心的外傷と反復」というタイトル)の指導教官であり、大学院修了後、先生留学先のパリのアパルトマンに2週間泊めていただいた超恩義がある。また現在も、大阪市港区の居場所事業の我々はアドバイザーだったりする。
その本間先生が当時は常に身につけていたブランド、それがギャルソンだった。
■ギャルソンTシャツは長持ちする
最初は僕は「はぁ?」だったが、毎度毎度お二人のギャルソン姿を見ているうちにシャレで買ってみるかという気になり、普及型Tシャツでも1万円近いその値段にぶっ飛びそうになったものの、着ているうちに「何かがいい」と実感せざるをえなかった。
また、実用的なレベルでは、ギャルソンTシャツは長持ちすることも徐々にわかってきた。
事実、2000年初頭に買ったTシャツも、首の部分が伸びることなくいまだに着ることができる。コート系もデザインの古さはあるものの、10年以上経っても何ら生地が崩れることがない。
ギャルソンTシャツは10枚以上(20枚くらいかな)あると書いたが、15年前にいちばん最初に買ったものさえまだ現役なため、どんどんたまる。
15年もつ1万円はものすごくお得でもある。
■「撹乱する」
当欄でずいぶん前に書いたが(癒しのパンダ~究極の「変な大人」)、「変な大人」の存在が、支援においても社会システム変革においても鍵を握る。
その「変な大人」を演出する際、服装というかファッションは重要なカギを握る。
僕はギャルソンTシャツを、面談でも着ているし講演でも着ているし会議でも着ているし内閣府の集まりでも着ていった。
内閣府のときなどは、セキュリティ二重チェックの仕組みの中でいちいち名前を書かされめんどくさかったがそれでもギャルソンを着ていた。
そのパフォーマティブな行為(着る人を選ぶ変な服を常に着ておく)が、人々の社会価値をゆるがす。
ジェンダー・セクシュアリティ論のバトラー的に言うと、
「撹乱する」。
存在そのもので既成価値を撹乱できる有効なツール、それが川久保玲の会社のTシャツなのだ。
こんな便利なものはない。鷲田先生や本間先生ほど超高価なギャルソンには手は出ませんが、せめてアップリケ系Tシャツで撹乱しよう、してやりたいと少しでも思っている人にはおすすめ😍