「劣化支援」のアセスメント11


■出るわ出るわ

11/7(火)の夜に、大阪は十三にて、「劣化する支援」と題した自主イベントを開催しようと思ったのは3週間くらい前だった。

ドーナツトーク熱血スタッフOさんと普通の仕事ミーティングをしているうちに、なぜか昨今のソーシャルセクター/NPO業界の「支援」の話となり、現場系のたくさんの提案や問題提起が出るわ出るわ、気づけば一本のイベントとして試しに開催してみようということになった。

それがこのイベントだ。

関係者合わせて会場のキャパを超えそうなため、締め切っています。
が、立ち見でもオッケーであればどうぞお越しください😊


このイベントが、大きな反響とともに、すでに定員となっている。

この頃は行政の委託事業をこなすことに精一杯で、このての自主イベントはどうも後回しになるのだが、イベントを立ち上げたこの日はになぜかずいぶん盛り上がり、大雑把ではあるが、以下の11項目を僕は当日語ろうと思う。

■情報、アセスメント、目標、行動計画

アセスメントというのは、医療や看護や福祉の支援業界でよく使われる翻訳しにくい英語だが、まあ見立てとか分析でいいんじゃないかと思う。

a.情報を列挙し、
b.アセスメントを複数並べ、
c.目標、特に「長期目標」を固定し、
d.長期目標の下にぶら下がる短期目標に則した「アクションンプラン」を並べる、

というのが、「戦略的支援計画」の流れだが、全体を俯瞰・分析する意味でこのアセスメントは重要である。

そういう意味で、現在、支援業界(特に僕の属する子ども若者支援業界)で起きている「劣化現象」は以下のようなものだ。

イベント当日は、この抽象化された11項目をもとに、オフレコ中心で例証する予定。

■アセスメント11

1.子ども若者ジャンルの「流行」の衰退
本格的な高齢化の突入により、メディアや票目当ての政治言説とは別に、人口的に少数派の子ども若者はどんどん背景化しており、高齢者同士の問題(犯罪や権利主張)が徐々に目立ち始めた。

子ども若者問題は、おそらくポリティカル・コレクトネスの代表的項目になると思う。
教育も若者の労働問題も一般的に重要ではあるがこの社会では二次的であり、高齢者の年金と医療費削減が第一の問題になるはずだ。


2.紋切り把握=当事者への想像力のなさ
「子ども若者の問題とはこんなもの」という紋切り提案がどうしようもなく目につきはじめる。それはすでに若手NPOが行なっている。


3.行政の背景化と民間の未熟
行政はややこしい(ひきこもりや発達障害や虐待)子ども若者問題の現場から一歩退き、NPOを中心とした民間に任せている。が、そのNPOたちが超未熟だ。


4.発信者の「超代表化」と「発信スキルのなさ」
超代表化というのは、中流階層であれば誰もが知っている、あの人やこの人といった、「NPOエース」たちである。これらエースたちはがんばって発信しているが、問題の本質からなぜかずれている(たとえばコミュニティ再構築に力を入れる「子ども食堂」の矛盾を指摘できない)。

また、老舗のNPO代表たちに発信スキルがない。それは身も蓋もないが、「発信の才能のない人が代表になっている」というNPO黎明期の問題と重なる。


5.プロジェクトと単年度への予算
子ども若者行政施策は基本的に単年度である。これではNPOも人事戦略が描けない。


6.資格バブル
イマイチな人々が次々と臨床心理士や精神保健福祉士になっている。


7.過剰な社員管理
5.単年度契約により人材的にイマイチな人々が一部集まってくるためNPOのミッションが理解できず暴走するせいか、イマイチな人々の発言が封印される。
結果、忙しい代表も発信できる時間がなく、現場のリアルな声が届かない。


8.縦割りの内部改革不可能性
厚生・労働・教育等の縦割りは内部改革は不可能。NPO的外部人材を入れて「撹乱」していくしかないが、外部人材は、その上のレベルの「外部を行政のトップにするという偶然」がない限りは難しい。


9メディアの遠慮
真の当事者は美しい当事者ではない。差別もするしケンカもする。そんな実像は、大メディアにはなかなか伝えられない。現場も「忖度」して遠慮する。


10.サヨク思考の蔓延
僕の前回の原稿(ひきこもりは、暴力的で偽善的なサヨクがきらい)とかご参照を。


11.根源的「当事者」問題
これも僕の原稿(差別してはいけないというポリティカル・コレクトネスが、弱さの実像を覆い隠す)をご参照くださいね。★