首相夫人との対談や記念撮影記事はいま読むと虚しすぎる〜人気取りと忖度ツールのNPO


「忖度」による配慮

森友問題は急展開を見せているが、ソーシャルセクターにとってのポイントは、森友の細かい問題ではなく、官僚から権力中枢への、「忖度」による配慮や気遣いの問題だ。


森友問題は経済産業省と財務省の裏バトルもあるみたいなのでここでは深入りしない。

NPOというかソーシャルセクターにとって重要な点は、ソーシャルセクターが時の政権にとって「人気取り」の一要素になるということだ。

時の政権は、消費税アップや憲法改正等の人気のない政策(本当になしとげたい政策)を覆い隠すために、市民受けする政策(弱者保護〜若者や乳幼児保護の政策)を交換条件として定置する。

その時、それら人気取りの政策を推し進めるソーシャルセクターを囲い込み、「お友達」としてPRしていく。

本命本丸の政策に従事する官僚たち(財務省や経産省)は、こうした交換条件的でお友達的動きをしっかりフォローし(忖度し)、民間関係者の動きを許す。


許しすぎると今回のような公文書改ざんに陥ってしまうが、そこまで極端な動きはめったにないにしろ、ソーシャルセクター/NPOは権力中枢の人気取りのツールとして使われ、本命政策を推し進めたい中枢官僚組織は、こうした人気取りツールの存在を許す。


「首相夫人」のようなトリッキーな要素

今回は「首相夫人」のようなトリッキーな要素も現れた。この要素と、ソーシャルセクター(というよりはソーシャルベンチャー)の間に親和性があり、両者は無邪気にもよく接触していた。首相夫人との対談や記念撮影記事はいま読むと虚しすぎる。

官僚からすると、ソーシャルベンチャーの事業(予算規模は小さい)を採用することで政権の人気取りにつながり、それが自分たちの本命政策実現化につながるから、そのPR活動を応援するしそのために忖度する。


この事業を採用することが権力中枢からのポイントアップにもつながる。

ソーシャルセクター/ベンチャーからすると、事業的に不正(たとえば土地の異常値下げ等)はないと思うので現実に問題はないだろうが、現在進んでいる「休眠口座」の扱いなどは危ういものを秘めているかもしれない。


いずれにしろ、ソーシャルセクター/ベンチャーと今の首相夫人は立場や思想的にも相性がよく、セクターのアドボカシー対象・夫人(や首相)自身の人気とり・官僚から見たわかりやすい忖度ポイントなどの各「点」が、「線」としてつながる。


各セクターにスキャンダルはないだろうが、ソーシャルセクターやアドボカシーのあり方を見直す(人気政治家や政治家家族との「なあなあ対談」や記念撮影ではない)機会にはなるかもしれない。

■ベンチャーとセクターの分水嶺


こうした「危険性」を危険として認識しているソーシャルベンチャーのリーダーたちが何人いるだろうか。

これを危険と感じないリーダーが「ベンチャー」であり、アンテナをはりめぐらしているリーダーが「セクター」だろう。

ソーシャルインパクト等、おしゃれ系のNPOソーシャルベンチャー・リーダーはこうした感受性が低いと僕は思っています😊



写真がないとやっぱり寂しいので、「劣化する支援@立命館大」を行なった立命にあるタリーズで。
劣化3参加者のほとんどには、上の原稿は頷いてもらえると思う。