2011年5月26日木曜日

AKBは2次元っぽい

この人は3次元っぽい。公式サイトより。

■カラオケ支援は「ステップ5」

脳出血からの復帰後、「NPO経営者」的仕事が中心になってきた僕なのではあるが、病気の前までは若者たちともしょっちゅうカラオケに行っていた。
スモールステップ理論的にいうと、「生活支援」段階のステップ5あたりになる。

ちなみに、スモールステップの進み方をざっと述べておくと、「アウトリーチ」段階内にステップ1〜3、「生活支援」段階にステップ4〜6、「就労支援」段階にステップ7〜10となる(詳しくは、スモールステップ支援スケールver.1をご参照ください)。

「スモールステップ・生活支援ステップ5」であるところのカラオケは、社会参加体験の初期段階としてはかなり有効だ。
座席の位置・曲入れの順・精算の仕方等の「暗黙の社会参加知」が、ほかの客を意識せず、自分の仲間たちのいわば暖かい視線の中でトレーニングできる。

■エヴァ→化物語→ハルヒ→けいおん!、→「空気」を読んでオザケン……

で、僕はそんな彼らのお手伝いをしながら、楽しい雰囲気を形成すべくというか僕自身大いに楽しみつつ何曲か歌うのであるが、だいたい歌う歌は決まっていた。
まずは「エヴァンゲリオン」関係。いっしょに行く若者たちが初めてであれば主題歌で無難におさめるものの、常連たちとの時は「タナトス」とか「魂のルフラン」とかでばしっと決める。

そしてこの頃は、「化物語」の主題歌。次に「涼宮ハルヒ」とか「けいおん!」とか京都アニメーション系が続く。
だいたいアニメを歌ってスカっとしたあと、もう無理して歌うこともないのだが、時間があれば昔懐かしのフリッパーズギターとかオザケンとかへ。

以前はこれら“渋谷系”はひきこもり男子の敵だったので遠慮していたが、この頃は懐メロになったため(誰も知らないため)遠慮しなくてよくなった。フリッパーズがめんどくさい時は、ああ涙涙のデビットボウイとイーグルスという、おじさん路線になっていく。Xジャパンやニルヴァーナもあるか。

僕は歌は下手だけど、好きだ。この、「へた好き」というのがわりと若者には受けるらしい。
ノリノリになってくると、モーニング娘にも突入する。ラブマシーンはシングルビデオ(懐かしい……)も買ったくらいのファンだった(というか研究対象だった)。黄金期のモーニング娘はほとんど歌える。

■AKBは、けいおん!3次元バージョン

という僕が病気をし、退院し、家でテレビを見ることが多くなった今日この頃、AKB48を見る機会がものすごく増えた。
これはモーニング娘とはあきらかに違う。どちらかというと、「けいおん!」のノリを実写化したようなアイドルたちだ。
モーニング娘は元ネタは80年代アイドルだったけど、AKBの元ネタは京アニキャラたちだ。

こんなことは深く分析せずともぱっと見ただけでわかることだ。市場ニーズに敏感なプロデューサーが、綿密なマーケティング数値も裏付けに、低予算で売り出し予想通り当たったのがAKBだろう。

だからその予想通り、秋葉原でおたくたちが何枚も同じCDを買い、枚数分の握手という商品を提供する。
彼らの中にはひきこもり(激しいひきこもりではなく、スモールステップ2〜3あたりの外出可能なひきこもり)もいるだろうし、正規雇用もいるだろう。彼らは、別名「草食系」ともいわれる。

■2次元っぽいAKB

AKB現象やおたく現象やひきこもり現象や草食系現象は決して個々の現象ではなく、現代日本の男性ジェンダーをそれぞれの角度から分析したときに出てくるキーワードだ。
ポイントは、1980年代に一度ピークを迎えた日本の若者文化・社会とそれを背景化したジェンダーのあり方が完全に消滅し、今は完全に「新保守主義」といってもいい男性/女性ジェンダーとなったということだ。

いや現代の特徴は、古典的なジェンダー配置をベースにしながら、AKBの総選挙や「けいおん!」の人物配置に見られるように、登場人物はそのすべてが女性(というか古典的「女の子」)だという、かなりひねくれた構図になっている。
古典的「男の子」は、登場人物である古典的女の子を支持(CDやDVD購入、あるいはライブチケットの購入というかたちで)するが、「劇」の中には男の子たちは決して登場しない。

劇の主役と脇役、その他すべての役は女の子たちで占められる。男の子は、それらを観察するためにチケットを購入するのみ。AKBの総選挙などでは数十万円も出費する男の子たち(実年齢40代だったりするが)もいるとか。

結局男は上から目線で女を観察していると怒るのは、それこそ旧来のジェンダー論者だろう。女の子は、観察対象であることを甘受しつつ、しっかりチケットを買ってもらい、自分の成功物語を夢描く。

男性ジェンダー優位という基本構図は変わらないものの、女の子は、いわばこの社会の中での「おいしいとこどり」を行なっているような。心やさしき「ひきこもり」くんたちは、それら女の子たちの夢物語に何十万円も払って協力しているような。
AKBの場合、彼らが苦手な「3次元」なのではあるが、彼女らの「汗」も、なぜか微妙に2次元っぽいんですよね。しばらく研究します。★